カピバラのあくび

株式会社ぶった農産 代表取締役 佛田利弘さんの投稿ページです。

「全中の機能発揮に期待する」(チンパンジーの笑顔)に対するコメント

「全中のホームページによれば、代表機能(組合員・JAの共通の意思の結集・実現)、総合調整機能(地域・事業の枠を越えてJAグループの総合力を発揮)、経営相談機能(創意工夫ある取り組みに積極的に挑戦するJAの組織・事業・経営を支援)の三つの機能を発揮する旨記載してある。監査権を除けば事実としての指導力を発揮することによって、農協の自主的活動の中枢的存在の地位を維持強化できるかどうか。また、行政目的に即応し補完してきた機能を、農政運動組織との関連の中でどう消化すべきなのか。」

→全国監査機構からみのり監査法人に移行したことそのものは、ご指摘のとおり監査権の移行でありますが、そもそも監査権ではなく指導権を全中が有しているとすれば、その指導権の考え方の構成と、その指導によって生み出されていることについての評価が肝要かと考えますが、いかがでしょうか。すなわち、指導権という法律事項でなくなった権限にどのような求心力を構築するかが不可欠であり、我々、専業経営は、その指導の中身と結果がどのように農業や農村の持続的発展に寄与するかということに関心がよせらるべきではないでしょうか。

 「全中は、系統農協の結集軸としての中枢機能を引続き維持して行こうとしているように見えるが、会員JA・連合会が全中を見る場合の全中の法的理念と実態との現在のギャップをどのように埋めていくべきか。」

→結集軸のコアコンピタンスは何かを、多様化した組合員層にどう理解してもらうか、届けられるかが課題のように思います。農協が立地する多くの地域は、高齢化などの深刻な社会課題と向き合い始めており、このような動きの予見をどう高め、行政では出来ない社会機能の発揮が必要かと思いますが、いがでしょうか。

 「全中の指導機能と行政補完機能を明確に定義しなおすことにより、引き続き中枢機能を維持し得るのか、会議体中心の組織に転化していくかの大きな転換点にある。別稿でも指摘したが、全中の一般社団法人化により、経営指導権限がJAバンク(農林中金)へ一元化された。ウォームハートの全中・県中からクールヘッドのJAバンクによる合理性優先の指導へと変化していくものと考える。JA自らが考え、意思決定しないと組合員の意思を反映しにくい合理化策となる危険が増している。」

→農中の独立的運営が高まることは、農協金融と農業現場の乖離が著しくなることを意味しているのではないかと危惧しますが、いかがでしょうか。
本来、農業の現場に立脚した農協そのもののガバナンスや役割、地域に根ざした活動が、価値を創造するモノであるとみますが、いかがでしょうか。
農中の独走度が高まることにより、系統内部のパワーバランスが変わり始めているのではないかと感じますが、いかがでしょうか。

稲作農業の現状と課題」(レッサーパンダの二本立ち)に対するコメント

前JA秋田ふるさと組合長 小田嶋 契(おだしま ちぎり)さんの投稿へのコメントです。

3.見直しの着眼点
 米の産地間競争は抗うことのできない流れになっている。
 これまでの流れを見直すためには、価格、需要と生産、消費の減少に対する考えを整理するところから始めなければならない。
 価格の上昇は消費の減少と生産量の増加につながり、消費の減少は価格の下落と生産量の減少につながる。このサイクルが繰り返され生産量、消費と価格が縮小してきた。また、需要は自然減だけでなく、昨年以来続いている新型コロナの影響による減少のように想定できない需要の変化もある。
 生産者・消費者ともに望ましいことは安定した価格である。安定した価格を形成するためには、需要に応じた生産することが前提であることは否定しない。しかし、産地間競争に伴って多様化している生産・販売環境下において、生産量を配分するといった統制経済的手法が有効で現実的なものであるかは考えなければならない課題である。
 むしろ、高齢化した稲作農家が大量にリタイヤする危険性を抱えている生産現場においては、確かな需要を見極めたうえで、安定した生産基盤を作っていく事を優先する必要がある。そして、産地として生き残るためには、いかに需要が減少しても、自分たちの作る米が減少分に含まれないような販路を構築することと、価格低下に対するリスクヘッジの手法を講じることが重要である。」

→販売の努力は、整備促進七原則の上に立脚した事業モデルであり、具体的にご指摘の改革を進めるにあたってどのように考え方の整理をすればよいのか。専業農家や農業法人、兼業農家は、もとより、農協経営者に至るまで、腹落ちできるモデルの明示が必要かと考えますが、いかがでしょうか。
※「整促7原則」(予約注文・無条件委託・全利用・計画取引・共同計算・実費主義・現金決済)
農協運動を検証する】今後の展望を切り開く 戦後70年 農協を顧みる
2015年10月6日総合JA研究会主宰福間莞爾氏の記事

(1)現状認識
 需要に応じて作付けすべき環境下にあっても、売り先が決まっていないのに作付けしている産地や生産者がいる。その一方で、産地・生産者は玄米を仕入れて玄米のまま販売しているような取引先は実需とは言えないが、そのことに気がつかず自分たちに需要があると実力を過信している産地や生産者も存在している。
 需要を確かなものとするために事前契約を進めてはいるが、売り手・買い手双方にリスクがあるため、量については内数の内数で契約されており、価格も明確に決めることができていない。」

→需要に対する過信はその通りだと思いますが、過信こそがご指摘にある相対の価格形成の根拠になるのではないか考えますが、いかがでしょうか。
さらに、現物の価格市場を形成することにより、適切な価格形成が可能ではないかという見方もありますが、どのように考えるべきでしょうか。現物市場の価格形成は、先物市場の価格形成の根拠となりえるということだと思います。現在の相対価格形成では、先物市場が成立しにくい環境にあるとの見方もありますが、いかがでしょうか。

(2)リスクに関して
 生産販売環境が不安定で先を見通すことが困難な状況下において、経営を維持していくためには様々なリスクを想定しなければならない。
 流通経路の多様化によって販売経路別、場所別によって多数のリスクが存在し、生産現場においても近年の天候を顧みると、異常気象を前提とした栽培を考えなければならない。
 まず、必要なことは自らが抱えるリスクを洗い出し認識することである。
 リスクをすべて排除することは不可能であるが、様々なリスクを想定したうえで目標とする収益を可能とするように効率的な組み合わせ(ポートフォリオ)を構築する必要がある。米の販売は1年1作のものを18か月かけて販売するため、資産運用と似た性格を持っている。そのため、損益のブレを小さくするためには、複数の販売先、銘柄などに分割することでリスクを低減する効果が期待できる。その際には、収益の増加・減少傾向が一致しないものを組み合わせることが重要である。もっとも回避すべきは販売先や銘柄などの一点集中主義である。(図‐6、表‐1)
 この考え方は複合経営においても必要と考える。(図‐7、8)」

→小倉武一氏が唱えた選択的規模拡大論と金沢夏樹氏が提唱した複合経営論は、国会論戦で選択的規模拡大論に軍配が上がり、構造改善事業を進めるうえで一つの役割を果たした側面はあるものの、一方で、第二次構造改善事業の失敗を招いた手法とも理解でき、結果として、個々の専業経営は、面積の拡大が進んだ水稲大規模経営を除いて、複合経営へ舵を切らざるえなかったとも考えられます。
 言い換えれば、水田兼業農家の離農によって、大規模稲作経営が生まれ、水稲探索の規模の拡大が比較的高価格で推移した米価による収益と規模の拡大を成立させていったということです。しかし、規模の経済は、第二次構造改善事業の失敗の理由とされた選択的規模拡大時の価格の下落がトリガーとなっています。
 すなわち、ポートフォリオの最適化が構造の変化に先手を打てることが重要かと考えますが、いかがでしょうか。また、その場合、どのようなコメ政策であるべきか、不足払いの品目支持的政策では、すでに限界にきているのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

「4.再び生産現場に戻って思うこと
 生産者の高齢化や需給の混乱など不安定な要素は数え切れない。米作りに魅力を見出し作り続けてきた我々生産者は稲作農業の衰退や農地の荒廃を傍観できるのか。主産地として水田をフル活用し、安定した生産基盤を作ることを目指し計画を策定していかなければならない。
 現在は、美味しければ多少高くても売れる、不味いものでも安ければ売れるという時代ではなくなっている。相手のいない米価闘争や不毛な産地間競争を続けても何も生み出すことはない。米以外の農産物や他の商品は、販路をきちんと作り、その販売量に応じて生産している。しかし、現在米を巡る環境は、販路を持たないで生産するだけ生産して、売れなかったから何とかしてくれ、という声に振り回されている状態にある。生産量を配分することは、販路のある人の生産を抑制するような行為であり、このことが続けば、伸びる人も伸びることができなくなる。
 以上のことから、米の抱える諸課題は、米だけを特別扱いしていることによるものと思料する。」

→販路開拓の努力が評価されない、または、そのような活動が行いにくい現在のシステムをどう変えるのか。農協間競争、都道府県間競争は、コメの販売のみならず、補助金などの予算獲得競争を行っているにすぎず、その調整は、農協経営者、系統団体経営者が、秩序の再整理をすべきかと考えますがいかがでしょうか。もちろん、ポスト整備促進七原則の経営モデルを示すことにほかならないと考えますが、いかがでしょうか。

→雑多でたわいもないコメントをお読みいただきありがとうございました。

佛田氏のコメントを読んで(小田嶋氏より)


「3.見直しの着眼点
 米の産地間競争は抗うことのできない流れになっている。
 これまでの流れを見直すためには、価格、需要と生産、消費の減少に対する考えを整理するところから始めなければならない。
 価格の上昇は消費の減少と生産量の増加につながり、消費の減少は価格の下落と生産量の減少につながる。このサイクルが繰り返され生産量、消費と価格が縮小してきた。また、需要は自然減だけでなく、昨年以来続いている新型コロナの影響による減少のように想定できない需要の変化もある。
 生産者・消費者ともに望ましいことは安定した価格である。安定した価格を形成するためには、需要に応じた生産することが前提であることは否定しない。しかし、産地間競争に伴って多様化している生産・販売環境下において、生産量を配分するといった統制経済的手法が有効で現実的なものであるかは考えなければならない課題である。
 むしろ、高齢化した稲作農家が大量にリタイヤする危険性を抱えている生産現場においては、確かな需要を見極めたうえで、安定した生産基盤を作っていく事を優先する必要がある。そして、産地として生き残るためには、いかに需要が減少しても、自分たちの作る米が減少分に含まれないような販路を構築することと、価格低下に対するリスクヘッジの手法を講じることが重要である。」

佛田→販売の努力は、整備促進七原則の上に立脚した事業モデルであり、具体的にご指摘の改革を進めるにあたってどのように考え方の整理をすればよいのか。専業農家や農業法人、兼業農家は、もとより、農協経営者に至るまで、腹落ちできるモデルの明示が必要かと考えますが、いかがでしょうか。
※「整促7原則」(予約注文・無条件委託・全利用・計画取引・共同計算・実費主義・現金決済)農協運動を検証する】今後の展望を切り開く 戦後70年 農協を顧みる 2015年10月6日総合JA研究会主宰福間莞爾氏の記事

小田嶋氏→前述の通り、生産者の様々な取り組みにより流通形態が多様化してきています。組合員の階層分化等に伴い、農協事業に対する組合員のニーズも多様化してきております。
 農協の経済事業は整備促進七原則に立脚した事業モデルでありますが、組合員の多様化に適応するため各農協で工夫し独自の進化が見られます。生産者にとって、生産物販売、生産資材調達の唯一のルートであった農協も、今は選択肢の一つとなっております。しかしながら、地域における農協の存在感は大きく、地域農業にとって今も大きな存在であり、重い役割を担っております。
 ご指摘の通り農協の役職員が生産者と緊密な意見交換を行い地域の実情に合わせた事業モデルを構築することが重要と考えております。

「(1)現状認識
 需要に応じて作付けすべき環境下にあっても、売り先が決まっていないのに作付けしている産地や生産者がいる。その一方で、産地・生産者は玄米を仕入れて玄米のまま販売しているような取引先は実需とは言えないが、そのことに気がつかず自分たちに需要があると実力を過信している産地や生産者も存在している。
 需要を確かなものとするために事前契約を進めてはいるが、売り手・買い手双方にリスクがあるため、量については内数の内数で契約されており、価格も明確に決めることができていない。」

佛田→需要に対する過信はその通りだと思いますが、過信こそがご指摘にある相対の価格形成の根拠になるのではないか考えますが、いかがでしょうか。
 さらに、現物の価格市場を形成することにより、適切な価格形成が可能ではないかという見方もありますが、どのように考えるべきでしょうか。現物市場の価格形成は、先物市場の価格形成の根拠となりえるということだと思います。現在の相対価格形成では、先物市場が成立しにくい環境にあるとの見方もありますが、いかがでしょうか。

小田嶋氏→「過信こそがご指摘にある相対の価格形成の根拠」ではなく出来秋の価格形成に影響を与えるものと考えております。この部分が先物市場の活用などによって早期に価格が決まるようであれば相対価格の根拠になるのではないかと思います。政府備蓄米、事前契約などは取引きの形態としては先物取引と似ておりますが、事前契約において価格の決定までは至っておりません。事前契約で価格まで決まるようになり、米の先物市場が活発になれば、現物の価格市場が形成されるのではないかと思います。
 現在の相対価格形成には出来秋の概算金が大きく影響しております。
 ご指摘の「現在の相対価格形成では、先物市場が成立しにくい環境にあるとの見方もあります」というご指摘については「概算金制度のもとでは、先物市場が成立しにくい環境」と考えております。

「(2)リスクに関して
 生産販売環境が不安定で先を見通すことが困難な状況下において、経営を維持していくためには様々なリスクを想定しなければならない。
 流通経路の多様化によって販売経路別、場所別によって多数のリスクが存在し、生産現場においても近年の天候を顧みると、異常気象を前提とした栽培を考えなければならない。
 まず、必要なことは自らが抱えるリスクを洗い出し認識することである。
 リスクをすべて排除することは不可能であるが、様々なリスクを想定したうえで目標とする収益を可能とするように効率的な組み合わせ(ポートフォリオ)を構築する必要がある。米の販売は1年1作のものを18か月かけて販売するため、資産運用と似た性格を持っている。そのため、損益のブレを小さくするためには、複数の販売先、銘柄などに分割することでリスクを低減する効果が期待できる。その際には、収益の増加・減少傾向が一致しないものを組み合わせることが重要である。もっとも回避すべきは販売先や銘柄などの一点集中主義である。(図‐6、表‐1)
 この考え方は複合経営においても必要と考える。(図‐7、8)」

佛田→小倉武一氏が唱えた選択的規模拡大論と金沢夏樹氏が提唱した複合経営論は、国会論戦で選択的規模拡大論に軍配が上がり、構造改善事業を進めるうえで一つの役割を果たした側面はあるものの、一方で、第二次構造改善事業の失敗を招いた手法とも理解でき、結果として、個々の専業経営は、面積の拡大が進んだ水稲大規模経営を除いて、複合経営へ舵を切らざるえなかったとも考えられます。
 言い換えれば、水田兼業農家の離農によって、大規模稲作経営が生まれ、水稲探索の規模の拡大が比較的高価格で推移した米価による収益と規模の拡大を成立させていったということです。しかし、規模の経済は、第二次構造改善事業の失敗の理由とされた選択的規模拡大時の価格の下落がトリガーとなっています。
 すなわち、ポートフォリオの最適化が構造の変化に先手を打てることが重要かと考えますが、いかがでしょうか。また、その場合、どのようなコメ政策であるべきか、不足払いの品目支持的政策では、すでに限界にきているのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

小田嶋氏→旧基本法の下での構造改善の反省を踏まえて食料・農業・農村基本法において構造政策が作られたものと認識しております。私自身は、旧基本法においては、望ましい農業構造の確立についての視点が無かったこと、価格政策の問題点が構造改善の問題に波及したことなどが失敗の理由ではないかと思料しております。
 ご指摘の通り、効率的かつ安定的な経営を目指すためには、常にポートフォリオの最適化を図り、構造の変化に先手をうてることであると私も考えます。
 米だけを特別扱いすることを止めることが第一歩であり、価格安定政策から経営安定政策による経営安定を図ることが重要であると考えます。

「4.再び生産現場に戻って思うこと
 生産者の高齢化や需給の混乱など不安定な要素は数え切れない。米作りに魅力を見出し作り続けてきた我々生産者は稲作農業の衰退や農地の荒廃を傍観できるのか。主産地として水田をフル活用し、安定した生産基盤を作ることを目指し計画を策定していかなければならない。
 現在は、美味しければ多少高くても売れる、不味いものでも安ければ売れるという時代ではなくなっている。相手のいない米価闘争や不毛な産地間競争を続けても何も生み出すことはない。米以外の農産物や他の商品は、販路をきちんと作り、その販売量に応じて生産している。しかし、現在米を巡る環境は、販路を持たないで生産するだけ生産して、売れなかったから何とかしてくれ、という声に振り回されている状態にある。生産量を配分することは、販路のある人の生産を抑制するような行為であり、このことが続けば、伸びる人も伸びることができなくなる。
 以上のことから、米の抱える諸課題は、米だけを特別扱いしていることによるものと思料する。」

佛田→販路開拓の努力が評価されない、または、そのような活動が行いにくい現在のシステムをどう変えるのか。農協間競争、都道府県間競争は、コメの販売のみならず、補助金などの予算獲得競争を行っているにすぎず、その調整は、農協経営者、系統団体経営者が、秩序の再整理をすべきかと考えますがいかがでしょうか。もちろん、ポスト整備促進七原則の経営モデルを示すことにほかならないと考えますが、いかがでしょうか。

小田嶋氏→この件にかんしては前述のコメントの中に記述させていただいております。

佛田→雑多でたわいもないコメントをお読みいただきありがとうございました。

小田嶋氏→貴重なご意見を頂きありがとうございました。