河原林孝由基・村田武著『環境危機と求められる地域農業構造』2022年7月1日、筑波書房ブックレット暮らしのなかの食と農67、筑波書房、825円

「チンパンジーの笑顔」雑読雑感 その62

河原林孝由基・村田武著『環境危機と求められる地域農業構造』2022年7月1日、筑波書房ブックレット暮らしのなかの食と農67、筑波書房、825円
もう少し強い主張があるかと思って期待していたが、まだ検討は道半ばの感があった。この種類のブックレットを開くのは、しばらく止めておこう。
著者を略歴から引用しておきます。
「河原林孝由基(かわらばやしたかゆき)
1963年京都府京都市生まれ、㈱農林中金総合研究所主席研究員、北海道大学大学院農学院博士後期課程在籍中、主要著作:「ドイツ・バイエルン州にみる家族農業経営」村川武編『新自由主義グローバリズムと家族農業経営』筑波書房、2019年所収、『自然エネルギーと協同組合』(共編著)筑波書房、2017年、『原発災害による避難農家の再起と協同組合の役割一離農の悔しさをバネに「福島復興牧場」を建設ヘー」協同組合研究誌「にじ」編集部企画『原発災害下での暮らしと仕事生活・生業の取戻しの課題』筑波書房、2016年所収
村田武(むらたたけし)
1942年福岡県北九州市生まれ、金沢大学・九州大学名誉教授博士(経済学)・博士(農学)、近著:『水田農業の活性化をめざす一西南暖地からの提言-』(共著)筑波書房、2021年、『家族経営と「将来性のある農業」』筑波書房、2021年、『家族農業は「合理的農業の担い手」たりうるか』筑波書房、2020年、『新自由主義グローバリズムと家族農業経営』(編著)筑波書房、2019年
いつものように、以下にチンパンジーの抜粋を載せておきます。
「これらダグラスらの研究を踏まえ、ミゲル・アルティエリ(Miguel Altieri)は持続可能な農業へのアプローチとして、「経済的(economic)」「生態学的(ecological)」「社会的(social))」という3つの集合を用いたベン図(図1)を示している。私たちが持続可能な農業を考えるにあたって、この図を顧みることでどの領域(スタンス)に立って議論をしているのかが分かるだろう。」(P8~9)
「2021年4月に農業構造法は施行された。同法の前提となる農業構造の目標設定では「農民的経営が支配的な多様な農業構造が地域農業の環境適合型農業への転換を可能にし、それが同時に農村地域の活性化に道を開く]という考え方にもとづいている。ここでは文献調査を主体としており、この新法の実際の評価については今後の現地調査を踏まえる必要があるが、一連のブランデンブルク州での取組みに通底する「現在の環境危機の時代にどのような農業構造が環境適合型農業への対応をはじめ、農業経営の大規模化・画一化や農外資本の参入、農地取得・取引に関する論点など、我々に多くの示唆を与えてくれるものである。」(P30) 「上述したような戦略レベルでのより高いレベルの選択肢に注目すべきであって、畜産と耕種を生態学的強化の枠組みの中で再統合し、ハイブリッドなアプローチを構築することは、今後30年の間に農業を包括的に変革するための基本である。これには、フードシステムの変革に関連した疑問、すなわち、どのくらいの量の畜産を国内のどこにどのように配置すれば、同しように保全目標を達成し、農業企業が往来的に適切な投資を行えるような社会的コンセンサスを確保できるのかという疑問に対するまとまった答えが含まれる。」(P68)