太田和彦著『居酒屋と県民性-47都道府県ごとの風上・歴史・文化』2022年6月30日、朝日新聞出版、880円

「チンパンジーの笑顔」雑読雑感 その63

太田和彦著『居酒屋と県民性-47都道府県ごとの風上・歴史・文化』2022年6月30日、朝日新聞出版、880円

面白かったです。東京農大名誉教授の小泉武夫さんが解説しています。

太田和彦(おおたかずひこ)氏の略歴は、次の通り。

「1946年北京生まれ。長野県出身。東京教育大学卒業後、資生堂宣伝部制作室にデザイナーとして入社。広告デザイン関係の受賞多敷。89年「アマゾンデザイン」設立。2000~07年、東北芸術工科大学教授。本業のかたわら居酒屋・旅などの執筆活動を行う。著書に、『ニッポン居酒屋放浪記/立志篇・疾風篇・望郷篇』『超・居酒屋入門』『居酒屋道楽』『居酒屋百名山」『居酒屋を極める』『東海道居酒屋五十三次』『居酒屋かもめ唄』『居洒屋おくのほそ道』『太田和彦の居酒屋味酒(決定版)精選204』『家飲み大全』など多数。』

いつものように、幾つか抜粋しておきます。

「日本中の居酒屋を巡り歩くうちに、居酒屋ほど各地の県民性が表れるところはないと気づいてきた。作家サマセット・モームは「その土地を知るには、市場に行け」と言ったが、私流は「その土地を知るには、居酒屋に行け」。

 四方を海に囲まれて南北に長い日本列島は各地で風土が異なる。太平洋、日本海、瀬戸内海の魚は異なり、沿岸と内陸では産物も料理法もちがう。また、港町、商業の町、城下町や門前町など年月が作った歴史は町柄をつくる。居酒屋には風土、歴史、産物のすべてが反映して一つの文化を形成する。

 その町に長く続いて名物になっている古い居酒屋の片隅に座り、その地の肴を注文して一杯やりながら、地元の客の会話に耳を傾けていると地元気質が見えてくる。また率直に店の主人に聞いたりもする。

客の酒の飲み方には大いに県民性が表れる。無口にながく飲む東北人、粋を気取る東京人、女も盛大に酒を飮む高知人、すぐ友達になるが翌日は忘れている博多人。

 人口分布や統計、著名出身者ではなく、そこに住む庶民が裸になる居酒屋から見えてきた各地の県民性を、自分なりにまとめてみた。そして、日本はまことに多種多様な県民性をもつことを知った。」(はじめに)

各県の居酒屋を紹介する目次のタイトルも抜粋しておきます。

「居酒屋と県民性-47都道府県ごとの風土・歴史・文化 目次

北海道・東北

 北海道 ビールと炉端焼

 青森 四つの海の幸と郷土料理

 秋田 小鍋立で、だらだらながく飮む

 岩手 落ちついた町の落ちついた居酒屋

 宮城 都会性と横丁文化が交錯する

 山形 庄内の豊かな産物と気風の出会い

 福鳥 保存乾物と会津気鋭の酒

関東

 茨城 おいしい魚があれども、商売ができない

 栃木 山国には山国の居酒屋あり

 群馬 かかあ天下と萩原則太郎

 埼玉 束京隣りの名居酒屋地帯

 千葉 外房の漁師料理と内房の江戸前

 東京 江戸つ子の飲み方

 神奈川 豊富な食材と、しゃれたハマつ子

中部

 新潟 地酒王国の居酒屋はどうなっているか

 富山 水よし、酒よし、魚よし

 石川 加賀百万石は居酒屋といえども艶っぽい

 福井 油揚と里芋、たのしみは……

 山梨 甲府にある理想の旅酒場

 長野 理屈っぽい信州人の居酒屋は

 岐阜 飛騨高山の晩酌文化

 静岡 居酒屋最適の県民性

 愛知 居酒屋のない町に日本一の居酒屋が

近畿

 三重 お伊勢詣りの精進落し

 滋賀 都の隣りの、おちついた風土

 京都 千年の都の居酒屋とのつき合い方

 大阪 ルネッサンスがおきた大阪居酒屋

 兵庫 酒郷灘、おひざもとの居酒屋は

 奈良 大仏商法の居酒屋とは

 和歌山 雄大な紀伊半島を味わう

中国・四国

 鳥取 静かな町であればこそ

 島根 遠い地に桃源郷あり

 岡山 ゆたかな食材とモダンな気風

 広島 瀬戸内の魚と広島人気質

 山口 長州藩の県民性

 徳鳥 踊る阿呆に飲む阿呆

 香川 うどん的県民性とは

 愛媛 文人の気風と南国の風土

 高知 不滅の酒飲み県

九州・沖縄

 福岡 ラテン気質と九州濃度

 佐賀 律義できちょうめん、が生んだもの

 長崎 男は親切、女は美人

 大分 ユニークな食べ物が多い温泉郷

 宮崎 日向かぼちゃに、いもがらぼくと

 熊本 肥後もっこすでよかよ

 鹿児島 薩摩の信念ここにあり

 沖縄 すばらしき日本一の県民性」

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