「地球温暖化」狂騒曲一社会を壊す空騒ぎ

「チンパンジーの笑顔」雑読雑感 その34

チンパンジー

渡辺正著『「地球温暖化」狂騒曲一社会を壊す空騒ぎ』2020年2月第5刷、丸善出版、1,980円

地球温暖化に疑問を突き付ける科学者たちの反論第二弾です。

福島原発の記述は事実としても、現場の農家の方の心情を思うと抵抗があったが、最近のファッショ的な地球温暖化、脱炭素の論調には辟易していたので、読んでいて気持ちがすっきりした。

著者の渡辺正さんの略歴は、次の通り環境問題の専門家です。
「1948年烏取県生まれ。1976年東京大学大学院博士課程修了、工学博士。束京大学名誉教授。束京理科大学教授。専攻分野:電気化学、生体機能化学、環境科学、科学教有など。主な著訳書:「基礎化学コース 電気化学」編著、丸善(2001)「高校で教わりたかった化学」共著、日本評論社(2008)「電池がわかる 電気化学入門」共著、オーム社(2011)「サイエンスパレット 化学一美しい原理と恵み」訳、丸善出版(2014)「アトキンス 一般化学(上・下)」訳,東京化学同人(2015)「化学はじめの一歩シリーズ 物理化学』共著,化学同人(2016)「星屑から生まれた世界」訳、化学同人(2017)「環境と化学 第3版」共著,東京化学同人(2018)ほか約160点」(奥付の著者紹介より)

いつものように、チンパンジーが注目した記述を抜粋しておきます。

「もうーつが、時代の空気に迎合して儲けたい人々の思惑だろう。エコカーやエコ家電、エコ住宅などを製造・販売する経済活動が典型になる。民間のメディアも経済活動の網にからめとられているため、新聞やテレビは大スポンサーに忖度し、「CO2排出を減らして環境を守ろう」と、本来の意味なら「反エコロジー」の表現を使う(6章)。」(1章 二酸化炭素-命の気体 P24)

「現時点は、小氷期(1350~1850年)からの回復途上で、自然現象として気温がゆっくり上がっていく時期とみてよい(2章)。気温が上がれば、海水に溶けていたCO2が大気に出てくる。図1・6の実線には、 全体の何割かは不明ながら、その効果も効いているのではないか?そんなふうに現在のところ、何が大気にCO2を増やしてきたのかさえ、わかったといえる段階ではない。」(1章 二酸化炭素-命の気体 P26~27)

「アル・ゴアの『不都合な真実』(2006年)をきっかけに、「地球温暖化が海氷を減らすせいで苦しむ」シロクマ(ホッキョクグマ)は、環境活動団体のイメージキャラクターになった感がある。2017年12月8日にも英国の革新系『ガーディアン』紙がそんな記事を載せていたけれど、現実はどうなのか?
国際自然保護連合の発表によるとシロクマの総数は、2005年の約2万頭から2015年の約2万6000頭へとむしろ増えてきた。だいぶ前、1940年の推計値が5000~1万頭と少なかったのは、狩猟のせいだという。狩猟が規制されたあと十分に増えたため(70年代~2010年で約5倍増)、狩猟はまた解禁されている。地球温暖化とはいっさい関係がない。」(3章 地球の異変-誇大妄想 P86)

「まず、2016~30年の15年間にあらゆる国が約東どおりのCO2排出削減をしたところで、2100年時点の気温はたったの0.05°Cでしか下がらない。また、やはり万国が「2016~30の約東を2100年まで守り続ける」場合、最終的な気温低下はやや大きくなるものの、それでも体感さえできない0.17°Cにとどまる。つまり世界各国が「温暖化対策」 に励んでも、2100年時点の地球を冷やす効果はほとんどないのだ。
使われる経費はどうか? 約束どおりに2030年まで進んだら、全世界で使われるお金は年々100兆円(現在からの12年間で1200兆円)にのぽるという。
1200兆円を投入し、2100年時点の地球を0.5°Cだけ冷やす-どうみても愚劣のきわみだろう。モラノ氏(185ページ)がパリ協定を「人類史上最悪の国際協定」と評する。そんな話に各国の政治家や官僚、科学者、メディアが踊りまくっている現実には寒気すら覚える。」(4章 温暖化対策-軽挙妄動 P116~117)

「自分のことは棚に上げ、他人にCO2排出削減(温暖化対策)を説く人や組織が多い[英語でいう”Do as I say,Not as I do(俺のいうとおりにしろ。俺のすることは見るな)”の世界]。やや旧聞に属するが偽善者の典型は、一般家庭の20倍も電気を使う豪邸3つを構え、搭乗者あたり莫大なCO2を吐く自家用ジェットで飛び回り、内容のあやしい著書と映画『不都合な真実』で温暖化の脅威をあおった(いまもあおる)米国の元副大統領アル・ゴアか。
日本にも、CO2削減論者のうちには、都心に住みながら自家用車や公用車を乗り回す人がいる。数年前から大増殖したスマホは中型火力発電所ほぼ一基分の電力を消費する(根元でCO2を出す)のだが、スマホを常用してCO2の排出増に加担しながら他人にCO2削減を説く人を見て首をひねるのはスマホに用のない私だけではないだろう。
温暖化に警鐘を鳴らしてパリ協定を称え、CO2削減を呼びかけるメディアも多い。たとえば2017年12月14日の朝日新聞に、「『脱炭素』遅れを取る日本 CO2削減進まず 成長も停滞」と題する編集委員・石井徹氏の意見が載った。また2018年1月13日の同紙は、「CO2排出を増やす」石炭火力40基の建設計画をなじる調子で社説にこう書いた。
「すべて実現すれば石炭火力の発電能力は四割ほど増し、CO2排出量が国の想定を大幅に超える恐れが強い。・・・世界の潮目を変えたのは、15年に採択された温暖化対策のパリ協定だ。・・・世界の流れに背を向けるような政策は長続きしない。・・・火力の中では、CO2排出が少ない天然ガスを主軸に据える。・・・建設を計画している各社には、状況の変化を踏まえた見直しを求めたい。」
2018年2月24日にも同紙は、 一面の五段記事と別面の「解説」で石井氏と小坪遊記者がパリ協定を称え、温暖化の恐怖をあおりつつ、万国の民は「脱炭素化」などでCO2削減に励めという趣旨の訓話を載せていた。
幹部がそんなご意見の企業なら、何はさておき国民に範を示すため、新聞なら紙媒体をやめて電子版だけにするとか、テレビなら深夜放送をやめるとか、業務を縮小してエネルギーと資源の消費量削減をお考えになってはどうなのか。実行なされば、お望みどおり国のCO2排出は(わずかでも)確実に減るはずなので。
そんな動きがまったくない現実からわかるとおり、地球温暖化やCO2排出増を本気で心配する人など、誰一人いないのだ。」(4章 温暖化対策-軽挙妄動 P126~127)

「風力発電だと、風車が住宅地に近ければ低周波ノイズが住民の安眠を妨げる。風車の羽にぶつかって死ぬ鳥やコウモリも多く、たとえば米国の野生生物協会が発表したデータによれば、2012年の一年間に米国全土で風車が殺した総数は、コウモリが88万8000匹、鳥が57万3000羽(うち猛禽類が8万300羽)だという。ワイオミング州のある発電業者は2014年、風車が38羽のイヌワシを殺したかどで約3億円の罰金を科された。そんな太陽光発電や風力発電が「環境にやさしい」はずはない。」(5章 再生可能エネルギー一理百害 P146)

「平均的な家庭でもない私の場合、2018年2月分の電気代請求書は図5・4の姿だった(寒さ続きでエアコンを多用し、電気代が普段の二倍以上になった月)。総額の一割に迫る728円は、屋根にソーラーパネルを設置できる裕福な個人とか、メガソーラー発電や風力発電で儲けたい事業者の懐に入る。つまり買取制度は、庶民のお金を富裕層に回して社会格差を拡げるばかりか、高い発電単価(142ページ)が語るとおり、世界のCO2排出をむしろ増やして化石資源の枯渇を早める愚策なのだ。日本政府は、他国の後追いなどすっぱりとやめ、できるだけ早く買取制度の廃止を決断すべきだろう。
ひとたび法律ができ、しかも利権がからむ話だと、行政も関係者も制度の死守に走る。だが国の将来を思うなら、ぜひ考え直してほしい。
再エネ発電賦課金も「温暖化対策費」の類になる。2017年時点の2兆1400億円(図5・3)を従来の年額およそ3兆円(109ページ)に足せば、5兆円にのぽる。2030年には、賦課金の予測値が3.6兆円だから(図5・3)、 一年間の総額は6兆円を超す(4人家族のお宅なら、気づかないまま年に20万円以上も奪われる)。お金を使ってCO2排出が減るはずはないため、もはや「おかしい」どころか、狂気の沙汰だといえよう。」(5章 再生可能エネルギー一理百害 P150~151)

「迷走続き 築地市場の豊洲移転は石原都政が2001年に決め、04年7月に基本計画ができて工事が始まり、16年11月には移転を終えるはずだった。だが同年8月に就任した小池都知事が、8月31日に移転の延期を発表する。ゴタゴタを経て2017年の12月20日、東京都は当初予定から二年遅れの18年10月11日を移転日と決めて現在に至る。
移転計画を迷走させた地雷のーつは、豊洲の地下水分析(2017年1月、4月、8月)で検出された「基準値のほぼ100倍」のベンゼンだった。時間と労力の空費がつづき、数億円どころではない余計な都税も使われている。だが「100倍」は、騒ぐような数字ではなかった。
基準値の素顔 ベンゼンの基準値とは、ネズミの発がん試験やヒトの疫学調査などから世界保健機関(WHO)がごく大ざっぱに決めた「水1リットル中に0.01ミリグラム」をいう。その水を一日に2リットルずつ飲み、ベンゼンを0.02ミリグラムずつ体に入れつづけたとき、生涯の発がん率が0.001%になる。基準値の100倍なら、生涯の発がん率は0.1%だ。
豊洲の地下水を一日に2リットルずつ「飲む」人はいないし、地上の店舗にも作業にも地下水は使わない。空気中に出てくる超微量のベンゼンを吸う程度だろうから、その発がんリスクは0.1%より何桁も小さく、0.001%以下だろう。心配なレベルではない。
何百倍も怖い酒 ネズミを使うアルコール(エタノール)の発がん試験もある。試験のデータからベンゼンとまったく同じ手順で 「基準値」を決めれば、体重70キログラムの人が一日に飲んでよい日本酒はわずか0.08八ミリリットル(一滴と少々)になる。それが「科学データから決まる日本酒の基準値」を表し、基準値の100倍は、一日あたり日本酒0.04合に等しい。
医療団体などの公開データを当たってみると、日本酒換算で一日に1~3三合を飲む人は1000万人ほどいる(ちなみに私はここ30年ほど夜な夜な2~3合を飲む)。すると1000万の国民は、日々エタノールを 「基準値の2000~7000倍」も摂っている。基準値の300倍(週に1合)以上の人なら5000万を超すだろう。しかも、誰も飲まない豊洲の地下水とちがって、エタノールはそのまま体に入れるのだ。
わかりやすいエタノール(酒)を引き合いにして基準値の意味を行政が語り、それをメディアが国民に伝えれば、たぶん無用な騒ぎは起きず、豊洲移転も予定どおりにすんでいた。」(終章 環狂時代-善意の暴走 P194~195)

「人体は天然の放射線源 放射能の話では、「ふつうの食品は放射能ゼロ。その清浄な世界を原発事故が汚した」と思っている人もいるだろう。だがそれは正しくない。以下ではまず、ベクレル(Bq)単位の放射能を考える。ベクレルは「1秒間に出る放射線の数=線源の強さ」を表し、周波数でおなじみの「ヘルツ」と同じ意味合いをもつ。
人体をつくる天然元素のうち、おもに炭素14とカリウム40の原子が放射線を出しつづける。体内の原子数から計算すると、体重60キログラムの人で炭素14が3000ベクレル、カリウム40が3500ベクレルの放射能を出す。以上二つを両横綱として幕下クラスのルビジウム87(約500ベクレル)も足せば、60キログラムの人体は約7000ベクレル(体重1キログラムあたり約110ベクレル)の「天然放射線源」だとわかる。
むろん人体のほか身近な動植物も、食品(殺した動植物の組織)のほとんども、1キログラムあたり110ベクレルの天然放射能を出している。原発事故が生んだセシウム137の放射能は、7000ベクレルの天然放射能に加わるだけだ。「セシウムだから危険」という側面もない。
たとえばセシウムの基準値(100ベクレル/キログラム。次項)すれすれの食品200グラムを食べたとしよう。食べた瞬間に、人体の放射能が7000ベクレルから7020ベクレルになるだけのこと。その「汚染食品」を日に200グラムずつ食べつづけたとしても、体内の半減期(70日)を使う計算でわかる定常値8000ベクレルが、重大な害を生むはずはない。」(終章 環狂時代-善意の暴走 P196~197)

「環境問題のうち「酸性雨」だけは、1960年代の末に話が始まって70~80年代に騒がれた。小中高校の教科書にまだ載るけれど、一過性の特殊な状況だったとわかって約20年前から報道もない。ほかの狂乱あれこれは1980年代以降に突発したが、ダイオキシンも「環境ホルモン」もだいぶ前から報道はなく、もはや何のことか知らない大学生も多い。
なおダイオキシンと「環境ホルモン」は、日ごろ食品から摂る量が1000倍になっても実害はない物質だった。ただし、ダイオキシンの発生源を「塩ビの燃焼」とみる人がいたせいで、塩ビ以外の素材に「燃やしてもダイオキシンが出ません」という愚かな表示をする業界はまだ残る。」(終章 環狂時代-善意の暴走 P199)

「化学者という人間集団の活動は、天然にない物質を生む。そうした合成物質を、当然ながら環境(環狂)主義者は悪とみる。たとえば米国の生物学者レイチェル・カーソンが、1962年の本『沈黙の春』で合成殺虫剤のDDTを攻撃した。蚊など昆虫には猛毒でもヒトへの悪影響は無視してよい物質なのに、彼女の筆が「ヒトにもあぶない」と匂わせていたため、環境活動団体が激しいDDT反対運動を起こす。
反対運動にひるむ諸国がDDTの製造・販売を禁じたせいで、いっとき激減していたマラリアの死者数が元に戻り、2015年の死者は数十万人を数える(WHO推定)。年間のマラリア発症者が約200万もいたセイロン(現スリランカ)は、1948年から十数年間のDDT散布でマラリアをほぽ根絶した。だが反対運動のため1964年に散布をやめた結果、5年後の発症者が100万台に戻っている。だからいま『沈黙の春』を「悪魔の書」と評する人も少なくない。
同類に、米国の女性活動家シーア・コルボーンの『奪われし未来』(1996年)がある。同書を誤読した研究者とメディア人が1998~2005年の日本に「環境ホルモン」騒ぎを起こし、省庁の助成金に研究者が群がったものの、暮らしを脅かす証拠は見つかっていない。むろん「環境ホルモン」と呼ばれる物質もほとんどが合成物だった。
本章の冒頭で触れたベンゼンも、「人工物なので怖い」と思うのか、環境主義に染まったリスク研究者が異様に小さい基準値(安全なレベルをさらに100や1000で割った値)を決める。かたや天然物のエタノールは基準値など気にしない。
だが暮らしのなかでは、人工物より天然物のほうがずっとあぶない。食中毒のほぼ全部は、天然物(植物や微生物が身を守るのに使う「化学兵器」)が起こす。私が夜な夜な飲む日本酒2~3のエタノールは、わずか5~7倍で成人の致死量に届く。また、温泉の独特な香りを生む天然物の硫化水素は、10倍の濃度で命にかかわる(2018年2月にも有馬温泉で死亡事故が発生)。大震災のとき「人災」が大気に放出させたセシウムの放射能を怖がり、体そのものが出す天然放射能は気にしないのも、「人間活動は悪」とみるからだろう。
化学肥料や農薬を毛嫌いし、有機農法を称える風潮も同類だ。けれど有機農法が大幅に普及したら、作物の収量が激減して餓死者が続出しよう。有機肥料が食中毒の原因になりやすく、合成農薬が作物自身の「化学兵器」を減らしていることも忘れてはいけない。」(終章 環狂時代一善意の暴走 P203~204)

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