『准組合員対策をどうする-新世紀JA研究会の「提言」を読み解く-准子と太郎の一問一答-』2022年7月1日、新世紀JA研究会、190頁1,000円

「チンパンジーの笑顔」雑読雑感 その59

『准組合員対策をどうする-新世紀JA研究会の「提言」を読み解く-准子と太郎の一問一答-』2022年7月1日、新世紀JA研究会、190頁1,000円
本年4月6日に「今後の准組合員対策への「提言」」がまとめられましたが、その全文を収録するとともに、「准子」と「太郎」が質疑を繰り返す中で、准組合員問題を解説しています。解説部分は、新世紀JA研究会の福間常任幹事が執筆しています。
新世紀 JA 研究会のなかに作られた准組合員対策推進・運営委員会を座長として貢献されたJA東京みなみの志村常務様、お疲れさまでした。
実践事例として、「准組合員は農業の応援団」JA秋田しんせい代表理事専務 佐藤茂良、「農産物直売所を通じた准組合員の意思反映」JA東京みなみ常務理事志村孝光、「食と農による准組合員の意思反映」JA福岡市代表理事専務宗欣孝の3事例と論考として、「農に関わる裾野を広げる展開方向」-農の有する多面的機能の発揮による准組合員対策-JAはだの代表理事組合長宮永均、「求められる『正と准組合員の相互補完ビジネスモデル』の確立」JA兵庫六甲前常勤監事前田憲成の2論考が収められているます。
なお、提言の全文は新世紀JA研究会のホームページからダウンロードできます。
チンパンジーが選んだ抜粋を掲載しておきます。
「当時、金融庁は、JA改革を機に、職員の横領などの不祥事が多い、単協の信用事業の農林中金への全而移管を進めようとしており(もしかしたら現在もその基本方針は大きく変化していないかもしれないが)、その状況下で、筆者も数年にわたり、金融庁幹部に対して、金融庁OBという立場も活かしつつ、各JAになぜ信用事業があるのか、そして、各JAに資金があることにより進められる農業を通じた農業・地域振興の可能性を説いてまわり、現状に一応の納得感を持ってもらう努力をしたことは記憶に新しい。
しかし、その後も各JAレベルの不祥事が頻発する現状は、JA改革という流れとは別に各JAのガバナンスーコンプライアンス意識のレベルが問われる状況となってきている。一般企業に勤める准組合員の多くが、ガバナンスコードに象徴されるガバナンス改革の流れの中にいる地域の労働者であることを考えれば、このような状況が続けば、金融機関でもあるJA組織に対する信頼感の維持が困難となり、再び、今度は農協法だけでなく、金融法制の方向から、事業利用規制の問題が再燃しかねない状況にあることは各JAも自覚すべきだろう。」(第1 JAへの期待 中央大学大学院戦略経営研究科教授杉浦宣彦、29~30頁)
「准組合員問題はとかく、意識や理念の問題から議論がスタートしがちだが、JAの活動への理解・参加が農業へのかかわりとつながることを准組合貝に具体的に示し、関心を喚起することがスタート地点であることを改めて認識すべきだろう。」(第1 JAへの期待 中央大学大学院戦略経営研究科教授杉浦宣彦、33頁)
「(太郎)実は、ここが政府の准組合員対策の「みそ」だと思う。政府が言う准組合員の意思反映とは、JAに自らの組織をどうするかという一種の踏み絵を踏ませることを意味していると考えていいのではないかな。
踏み絵を踏ませるという意味は、農業者ではない准組合員の意思をJAに反映させ、その結果JAが農業関係以外の事業を他の組織に移譲もしくは転換させ、農業振興に注心するかどうかを行政として見定めることともとれるね。」(第2 准子と太郎の一問一答、42頁)
「(太郎)第3の道におけるJAの役割は、農業振興・農業の基本価値の実現のため、農と食・環境を守る活動を行っていくことだと思うね。農業生産力の向上や農業者の所得確保も重要だが、それだけではJAは閉鎖的な組織と受け取られかねない。JA運動を国民に開かれたものにするには、農業のとらえ方や意義を国民全体のものにしていくことが重要と思うよ。
また、こうしたJAの役割を果たしていく上でのJAの新たな経営理念は、「農業振興(農業の基本価値の実現を含む)を通じた豊かな地域社会の建設」や「農と食・環境問題への取り組みを通じた豊かな地域社会の建設」などとして考えることができるのではないのかな。この点について、「提言」では、「農と食を通じた豊かな地域社会の建設」と表現している。(第2 准子と太郎の一問一答、69~70頁)
「(太郎)農業振興の貢献者という言い方は、他人行儀で水臭いと思われる、いわば意識の高いJAでは、農業振興の伴走者・支援者・応援団という言い方をされても全く差し支えな いね。
もちろん、准組合員の中には家庭菜園に精を出す人、さらには農家になる人など農業生産に直接関与する人も多く存在するね。准組合員の多くは農業振興の貢献者であるが、農業生産の主体になる人たちも含むということだね。そういう意味では、准組合貝について、「食べて応援、作って応援」(第28回JA全国人会議案)は、優れたキャッチフレーズと言っていいね。」(第2 准子と太郎の一問一答、81~82頁)
『准組合員対策をどうする-新世紀JA研究会の「提言」を読み解く-准子と太郎の一問一答-』は、まだ販売されていないのですか?
コメント有難うございます。
福間さんから案内いたします。お待ちください。(濱田)