平野秀輔著『JAの財務会計と管理会計(第6版)』2022年3月23日、(一社)全国農業協同組合中央会、230頁1,467円

「チンパンジーの笑顔」雑読雑感 その88
平野秀輔著『JAの財務会計と管理会計(第6版)』2022年3月23日、(一社)全国農業協同組合中央会、230頁1,467円
全国JA職員資格認証統一試験の参考テキストで新しく改訂されたものです。
著者の平野先生は、JAグループの監査試験をはじめ各種試験委員でおなじみの先生です。今や青森大学東京キャンパス長・総合経営学部教授で公認会計士・税理士の肩書を持ってます。
先生は、全日本のフライフィッシング優勝者でもあり、モンゴルでシーマ(イトウ)のフライフィッシングもご一緒したことがありますが、最近は縁遠くなってしまいました。
久しぶりに会計の本を手にすると、実務から離れて久しいので新しい知識が入りますね。
以下に、チンパンジーが改めて納得したところを抜粋しておきます。
「① 250%定率法
これは平成19年4月1日から平成24年3月31日までに取得した固定資産に適用されているもので、その詳細は財務省令で定められています。具体的には残存価額を、償却率を定額の場合の250%として、定率法の減価償却の計算式に当てはめて毎期の減価償却費を計算する方法です。ただし、これには保証率と改定償却率が定められており、算式によって計算した額が保証額(保証率×取得価額)に満たない場合には、その時点での期首の未償却額を改定取得価額とし、これに改定償却率を乗じた金額を備忘価額の1円に達するまで償却することができます。
(中略)
② 200%定率法
これは平成24年4月1日以降に取得した固定資産に適用されているもので、250%定率法と考え方は同じですが、償却率が250%から200%に減少し、それに応じて改定償却率、保証率もそれぞれ変更されています。」(第6章 有形固定資産、59~60頁)
「税効果会計の適用例についていくつかをあげておきましょう。
例I)当期末の貸倒引当金残高は200,000,000円であり,このうち50,000,000円は税務上次期以降の損金(当期としては「有税部分」という)となるものである。実効税率は30%とする。
仕訳 (借)繰延税金資産 15,000,000 (貸)法人税等調整額 15,000,000
例2)例1)の貸倒引当金の有税部分が当期になって,税務上損金と認められるようになった。
仕訳 (借)法人税等調整額 15,000,000 (貸)繰延税金資産 15,000,000
例3)当期に計上した固定資産売却益300,000,000円について,税務上課税の繰延の特典を受け,申告書では当該金額を減算(所得から控除)した。実効税率は30%である。
仕訳 (借)法人税等調整額 90,000,000 (貸)繰延税金負債 90,000,000
例4)例3)において繰り延べた税金のうち,当期の負担分は12,000,000円であった。
仕訳 (借)繰延税金負債 12,000,000 (貸)法人税等調整額 12,000,000
例5)当期において,その他有価証券の時価評価額は100,000,000円であり,この取得価額は70,000,000円であった。有価証券評価差額は純資産の部に計上する。実効税率は35%である。
仕訳 (借)その他有価証券 30,000,000 (貸)繰延税金負債 10,500,000
その他有価証券評価差額金 19,500,000
有価証券評価差額のうち,実効税率部分は,当該時価で売却されたとした場合に将来支払うべき税額を示すので,これは純資産に含めないで繰延税金負債として負債計上を行います。」(第12章 税効果会計、149~150頁)