1.日 時  令和4年1月13日(木)13時30分~16時30分

2.場 所  ズーム(オンライン)・録画方式による

3.参加者   主にJA役職員

4.日 程   

時 間内 容
1330(司会) 東京農業大学 名誉教授 白石 正彦
1330分~1335(開会挨拶) 新世紀JA研究会代表  JA菊池  代表理事組合長  三角 修
1335分~1340「解 題」 新世紀JA研究会 常任幹事 福間 莞爾
1340分~1355「准組合員の意思反映について」 JA全中 JA改革推進部  JA改革推進課長  山田 剛之 氏
1355分~145質疑
145分~1435  「准組合員は農業の応援団」 JA秋田しんせい 専務理事 佐藤 茂良 氏
1435分~1445質疑
1445分~1455休憩
1455分~1525「農産物直売所を通じた准組合員の意思反映」 JA東京みなみ  常務理事 志村 孝光 氏
1525分~1535質疑
1535分~165「食と農による准組合員の意思反映」 JA福岡市   専務理事  欣孝
165分~1615質疑
1615分~1630総合質疑
1630閉会

ZOOMの編集録画

准組合員の意思反映について-第29回JA全国大会決議を踏まえて-
JA全中 JA改革推進部 JA改革推進課長  山田 剛之 氏

【はじめに】

 本日は、JAグループにおける准組合員の意思反映の取り組みとして、これまでの取り組み経過とあわせて、今般の規制改革実施計画や第29回JA全国大会決議をふまえた今後の取り組みについてご説明させていただきます。

【「准組合員の意思反映」にかかるこれまでの取り組み】

 近年の准組合員の意思反映にかかる取り組みは、自己改革の一環として進めてきました。大きく4つのポイントについて時系列でご説明します。

 1つは、平成27年の第27回JA全国大会決議です。

 農業者の所得増大等を目的とする自己改革の取り組みとあわせて、准組合員を「農業や地域経済の発展を共に支える『パートナー』」と位置付け、「農業振興の応援団」である准組合員の拡大や意思反映を進めることとしました。

 また、その後の自己改革の取り組みでは、平成30年から正・准組合員を対象とする対話運動及び組合員調査を全国のJAで進め、組合員調査では、准組合員179万人から回答があり、うち9割から「JAの農業振興を応援したい」旨の回答をいただくことができました。このようにJAグループの自己改革では、正組合員はもちろん、准組合員の声もふまえて取り組みを進めてきました。

 2つは、令和2年4月に組織協議を経て決定した「農協法5年後見直しを見据えたJA自己改革の取組方針」です。

 組合員調査の結果等をふまえ、准組合員は一般消費者と比較して農業やJAへの理解が深く、農業や地域の振興を進めるためにはさらにJAへの参画を進めるべきとして、准組合員の位置付けを『パートナー』から『組合員』に改めるとともに、各JAにおいて准組合員の意思反映等に取り組むこととしました。

 3つは、同年7月の規制改革実施計画です。

 同実施計画において、JAグループ自己改革への一定の評価とあわせて、「准組合員の意思を経営に反映させる方策について検討」として、初めて准組合員の意思反映が求められました。これより、4月の取組方針で決定した准組合員の意思反映の取り組みは、全国のJAにおいて加速化して進められることとなりました。

 なお、従前より在日米国商工会議所等からは、JAの准組合員について「組合員として扱われておらず不特定多数の事業利用者に過ぎない」旨の批判が繰り返されていました。実施計画の記載は、そのような批判への対応が意識されたものではないかと考えられます。

 4つは、令和3年10月の第29回JA全国大会決議です。

 同年6月の規制改革実施計画において、今後、各JAは准組合員の意思反映を含む「自己改革実践サイクル」に取り組むこととされました。

 これをふまえ、10月の全国大会決議では、准組合員の意思反映を含む「不断の自己改革」に取り組むこと、さらには正・准組合員に加えて、新たに「食と農に関する活動に取り組む地域住民・関係人口」を位置付けました。

 また、「食べて応援」「作って応援」「働いて応援」の取り組みにより、食と農に関わる地域住民・関係人口を創出・拡大し、その中から准組合員及び正組合員へのステップアップイメージを示しました。

【「准組合員の意思反映」にかかる今後の取り組み】

 准組合員の意思反映にかかる今後の取り組みについて、第29回JA全国大会決議の記述は以下のとおりです。

 JAは、組合員の意思反映に関する取組方針を策定し、これにもとづいて、意思反映・運営参画の意志のある准組合員を特定・類型化し、意志のある准組合員を対象として、モニター制度等の准組合員固有の組織による意思反映に取り組みます。  あわせて、既存の組合員組織への加入等を通じて、組織的な意思反映の機会を提供し、「正組合員とともに、地域農業や地域経済の発展を支える組合員」である准組合員によるJAへの意思反映・運営参画を推進します。

 この大会決議の取り組みは、自己改革実践サイクルに関連して令和4年1月より適用される農水省の総合監督指針にも対応した内容となっています。

 総合監督指針のポイントは2つです。

 1つは、「農業者の所得向上を図る観点」から准組合員の位置付けが求められており、JAグループの「農業振興の応援団」に近い整理がされたことです。

 2つは、意思反映の手法は「地域の実情」に応じて行うとされていることです。准組合員の実態はJAごとに相当に多様であり、一律的な意思反映の手法によることは現実的ではありません。各JAにおいては、地域性(農村部、都市部)や組合員の状況(正・准組合員数や事業利用状況)等をふまえて、実態に合った適切な手法で意思反映の取り組みをお願いいたします。

 JA全中では、JAにおける准組合員の意思反映を含む組織基盤強化の取り組みを強力に支援してまいります。

 「JA組織基盤強化推進マニュアル」「事例集100選」「組合員のメンバーシップに関するアンケート」をはじめ、准組合員の意思反映についても本年3月に「手引き」「事例集」を改訂し、様々な支援ツールを提供してまいります。

 今後の自己改革実践サイクルの取り組みでは、JAグループの「不断の自己改革」の真価が問われることとなります。

 JAグループは、今後とも持続可能な農業と地域共生の未来づくりに向けて、役職員・組合員の力を結集し、正・准組合員との徹底した対話に基づく農業と地域の振興に全力で取り組んでまいります。

「准組合員は農業の応援団」                                               JA秋田しんせい 専務理事 佐藤 茂良

当JAは農村型の農業協同組合として事業展開をしているが、近年では准組合員が増加の一途をたどり、令和2年度末では10,055人、准組合員9,125人と准組合員比率が47.6%となり、広域合併時の平成9年4月と比較してその比率は20.2ポイント増加(平成9年比率27.4%)している。令和8年度末には正准組合員数が逆転することが想定され、正組合員との農業振興はもちろん、准組合員との関係性も非常に重要な局面を迎えている。

 こうした状況の中、令和2年1月の新世紀JA研究会セミナーにおいて、高齢や離農のためリタイヤした正組合員が農業に長けた准組合員として留まっていただくことや、農業に理解のある准組合員を増やしていくことで、JAと准組合員の結びつきを強化し、正組合員が准組合員への存在価値を認めることによって、組合員力を結集した農業振興への結びつきの強化を提案したところである。

 令和2年3月、当JAでは、その実現に向けて生活担当・女性部・広報を集約した「Agri・Food未来企画課」を新たに立ち上げたところである。農業振興への想いを持つ准組合員の加入につなげるため、正組合員が丹精込めて生産した農産物をまるごと「季節のおいしいお届け便」として詰め込み、年4回にわたり全国各地にお届けし、正組合員を「食べて応援」していただき、今後のメンバーシップ強化を図ることを目的に准組合員加入を進める取組みを行っている。結果、令和3年10月末現在で全国各地から農業振興の想いを持った准組合員が、150名新たに加入している。また、自慢の新米を直接地域の方へ販売する「新米直売会」や、学校給食等の多岐にわたる消費者ニーズに応えるため、無洗米製造を兼ね備えた精米設備をリニューアルした他、農産物の加工にも力を入れ、米粉うどん・しいたけうどん等の加工品も積極的に開発し、農業と食の理解促進へつなげている。また、JA秋田しんせいが運営する「職業無料紹介所」にも准組合員の方々から登録いただき、農家の担い手不足・働き手不足等の求人支援にマッチングを図ってきた。

 当JAがこうした取組みを進めている中、第29回JA全国大会では、「持続可能な食料・農業基盤の確立」、「持続可能な地域・組織・事業基盤の確立」等の5つの柱を掲げ、10年後のJAグループのめざす姿が示された。同大会においても、組合員、地域住民を農業振興上の区分として明確に位置付けていることから、当JAがこれまで取組んできた方針を確信した一方、秋田県内では自己改革に対して「JAの自己評価」と「組合員の受け止め方」に大きな隔たりがあり、組合員に自己改革の取組み状況を伝えきれていないことが課題となっている。したがって、組合員から理解と評価を得るためにも、准組合員との継続的な対話の実施や意思反映・運営参画の提供によって、つながりを強化する必要がある。

当JAでは、令和3年3月に准組合員の声を組織・事業運営に一層反映していくことを目的に「准組合員にかかる意思反映・運営参画促進要領」を制定している。要領では准組合員を「正組合員とともに地域農業や地域経済の発展を支える組合員」であり「農業の応援団」と位置付け、JAのイベントや行事を通じたアンケートの実施や准組合員向け会議体の開催を通じて、JAにおける事業活動の運営に関するご意見をいただくこととしている。

准組合員に農業への応援意思を確認するアンケートでは、農業応援団へのご賛同が95%、食べて応援したい人も95%、さらに農業を手伝って応援したいが65%であり、食に対する意識と農業への関心度の高さが伺える結果となっている。また、准組合員によるモニター制度を立ち上げたことにより、さらに、農業の魅力を伝え・農業を応援する機会ととらえ、准組合員の意思を組合員運営に反映させてまいりたい。最終的には、モニターの方々の組織化を図り、短期的には准組合員から「准組員総代」、長期的には理事定数に「准組合員枠」に発展させることを想定している。

こうした取組みによって、准組合員の意思反映を明確にしていかなければならないものと理解しているものの、JA組織の主役である正組合員が減少する中、准組合員が主役になるようでは本末転倒である。監督指針には「見直し等が求められる場合には、農協改革の原点に立って必要な措置を検討・実施する」とあることから、農協解体の議論の再燃も予断を許さないものである。

「食べて・手伝って応援」する准組合員の存在意義を正組合員が認めることが重要であり、将来的には、定款変更も検討しながら准組合員を正組合員へ転換するスキームも検討していく必要があると考えている。

農産物直売所を通じた准組合員の意思反映
              JA東京みなみ  常務理事 志村 孝光

1.「准組合員=農業振興に貢献する意志ある者」という定義

東京都の農業は、耕地面積6,530ha(東京都面積の約2.97%)で行われ、相続等の理由から年間約100㏊程度の耕地面積が減少している。一方で少子高齢化・環境問題への関心の高まり等を背景に都市農業・農地に関する重要性は見直され、都市農業基本法や生産緑地法の改正により税制上の優遇措置等や農地の貸借が可能な制度も構築され、農地を残すための法制度も整備されているが農地の減少は急激に減少している。また、都内にはJA関連の農産物直売所が約60箇所あり全体の売上高は約60憶円、近時のコロナ禍の影響による「巣ごもり需要」も後押しとなり売上増加傾向に推移している。こうした大消費地を抱える環境も都市農業の特徴と言える。

こうした農業環境の中で、都内JA全体では、正組合員約3.7万人(70歳以上が約6割)准組合員17.8万人、実に正組合員の約4.7倍の准組合員が存在し、過去10年間で見ると、正組合員は約7千人減少、准組合員は約2.8万人増加しており、信用事業・共済事業等の事業利用や金利優遇金融商品・配当目的等を目的とした准組合員が大半を占めている。また、 これら准組合員の事業占有率は大きくなりJA事業への影響度も大きい状況にある。

都市型JA特有の環境の基で准組合員の意思反映を考えるとき、以下の2点が重要になる。

  • 「食」を通じて農業振興に貢献するという意志ある准組合員を切り出すこと
  • そして、そうした意志ある准組合員を組織化すること

批判を恐れずに言うと、前述の准組合員加入の要因でふれたように、その多くは、JAの本質的な組織目標「農業振興」とは関係の無い理由で准組合員となっている。今いる准組合員の意思を一様に集め、経営・事業へ反映させることは「農業振興」とは無関係の意思を経営に反映させることに他ならない。その行き着く先はどこにあるのだろうか?

そこで、「農業振興は生産者たる正組合員と食を通じて貢献する准組合員」といったJAの本質的目標を柱に准組合員を再定義した上で、その意志ある准組合員を切り出し、組織化する必要がある。換言すると「食」を通じて農業振興に貢献する准組合員の意思を経営に活かすことである。

2.「食」を通じて地域農業振興を支える准組合員=「農業振興クラブ」による切り出しと組織化

先述の通り、都市農業の特殊性には、「大消費地に近い」といった面がある。都内人口は約1,400万人、その多くは都市近郊に住み、飲食店等が無数に存在していることは「食」に関する多くの需要とチャンスがあることを意味する。それは、農産物直売所の盛隆や下記意識調査の結果からも伺うことができる。加えて、都内の農産物直売所においては、年間を通じて地場産の農畜産で潤沢に店内を埋め尽くすことは現実的には不可能な状況にある。

「農業振興クラブ」は、農産物直売所の利用を通じて農業振興に貢献することを目的に准組合員加入を前提とした新たな組織となる。加入にあたっては、年会費1,200円を毎年支払う必要があり、その年会費は原則返金しない仕組みとなっており、直売所の収入として計上する事を想定している。(コストコモデルを想定)

会員は加入のインセンテイブとしてJA農産物直売所での利用の際に割引価格での購入が可能となる。また、将来構想としてSDGS等環境問題への関心の高まりから農産物直売所の利用により、環境問題に積極的に加わるロイヤリテイとして定額につきポイント付与される「アグリサポートポイントカード」を作成、ポイントの増加と共に割引率が変化するしくみを模索している。(ロイヤリテイの見える化)

この仕組みは、JAにとって准組合員の意思反映という命題の解決策に届まらず、以下の効果を創出する。

  • 直売所利用顧客の創造
  • 意志ある組合員の創造
  • 農業振興を支える新たな年代の准組合員の創造
  • 農産物直売所の収支改善
  • 他県JAの特産品等の販路の創造(直売所での販売)

そして、「農業振興クラブ」を准組合員意思反映の中核自主運営組織として女性部や青壮年部等と同様に位置づけ、「徹底的な話し合い」を通じて意見・要望の収集から経営・事業への反映へと展開を予定している。

3.JA直売所のブランド化・チェーン化の推進

このスキームで重要なことのひとつは、JA直売所が売れる直売所であること、利用者が年会費を支払ってでも購入したいと思えるブランド力を持つことと、それを効果的に進めるためJAの垣根を超えた都内直売所のチェーン化が不可欠となる。

ブランド化とは、「安全・安心・新鮮・安価」から「安全・安心・新鮮・高品質」への転換を意味し競合ひしめく食品小売業の中で差別化戦略による「尖った店」を作り上げる必要がある。

これは固定資産税等の高コスト下で生産される農産物の付加価値を適正価格で販売するための施策でもあり、一方で消費者アンケート結果からも選ばれる店作りを推し進めることに他ならない。

加えて、ブランド化を進めるためには都内JA直売所が統一的に取組み、管内ブランドから東京産農産物ブランドへの広域ブランドの確立と県外特産品等の農産物を販売する仕組みが必要になる。その実現のため、都内直売所の物流・ブランドのチェーン化が必要となる。

   現在、JA東京グループでは、直売所のブランド化とチェーン化に向けた物流体制の構築等に取り組んでいる。

4.「農業振興クラブ」のステップアップ「作って応援」と更なる組織化

  農業振興クラブの次のステップは、「作って応援」への取組を想定している。先述の通り都市農業・農地に関する法制度は大きく変わり、都市部における農地・農業の存在意義が見直され 生産緑地の貸借が可能になったことから、JAの直接農業生産・JAによる貸農園事業への道 が開かれた。市民農園の盛隆や貸農園事業を行う企業の参入等、援農ボランテイア制度の活性等、「農」による関心は「食」に限ることなく「作る」ことにも大きな関心が生まれている中で、生産者(直売所への出荷者)を新たに創造する仕組みの構築を図りたい。

また、求められる准組合員の意思反映の仕組みは、「農業振興」の旗の基で「意志ある准組合員の組織」をJAが重要な組織と位置づけ、女性部・青壮年部と同様に都域・全国域組織へと拡大してゆく必要があると考えている。

JA福岡市における『食と農による准組合員の意思反映』について                            JA福岡市 代表理事専務 宗 欣孝

JA福岡市は、九州北部に位置する人口162万の福岡市の概ね80%を管内とする都市型JAです。あとしばらくは人口の増加も見込まれる大変活気のある都市であり、当JAは恵まれた環境にあります。都市型JAであるため、組合員構成を見ると、正組合員約6,600名に対し、准組合員約34,000名と1:5となっています。よって、准組合員の意向というものも重要であることは言うまでもありません。

 さて、JA福岡市の意思反映プロセスを見てみると、これは全国の各JAも同様と思いますが、最高議決機関である総代会や地区別の説明会等、主に正組合員を対象としたものは多く開催しています。これまでもこれからもこれらは意思反映の大きな柱であることは当然のことです。

 当JAでは平成初期、組合員数の減少を問題視し、平成13年より「組合員加入促進運動」を開始し、これは途切れることなく継続してきました。正・准問わず推進してきたわけですが、令和2年までで2万名以上の純増となり、上記の組合員数となったわけです。そして、その内訳は増加数のほとんどが准組合員ということになりました。

 ここで、准組合員の意思反映ということを考えてみたいと思います。そもそも、准組合員の意思とはなんなんだろうということです。3万を超える准組合員がJAの経営について何かを意見したいのか、私見ですが、ほとんどいらっしゃらないと思います。では、今言われる意思反映とは何なのか。ここに大いに迷いを感じるわけです。

 それでは、准組合員はどういう人たちなのかを考えます。3つに分類してみました。まずタイプAとして、正組合員家族、または農家の分家であるとか、昔から集落内に住んでいる土着型非農家です。この方々は事業利用はもちろん、当JAで平成12年から行なってきた支店行動計画等の協同活動への参画もされており、先述の経営というものへの意識も多少あることでしょう。

 次に、タイプB、これは混住化のなかで、そこに住まれるようになり、JA事業の利用が始まり、JAという組織についても理解のある方々です。身近な金融機関でもあり利用するようになるとともに、直売所でのお買い物などをされています。

 そして、タイプC、これは住宅ローン契約者など、金融商品目的といった単体利用者、出資配当目的の人であり、JAの経営はもちろん活動への興味も薄い方々です。うちの3万を超える准組合員の多くは、このタイプCであろうと考えます。

 現在、当JAは、基本方針として、『私たちは、循環型総合事業を展開する「福岡市食料農業協同組合」として組合員の営農と生活を守ります』と掲げて事業・活動を展開しています。食料農業協同組合と表現しているのは、農は食を産み出すもの、つまり食料は、農家以外の方々にも大きく関係しているのです、だからJAは地域住民にとっては無関係の存在ではありませんと伝えたいからです。その地域住民のなかでもJAに近いのが准組合員だと思います。

 そこで、これまで当JAは准組合員の意思を反映してこなかったかを考えてみました。決して反映させなかったわけではありません。理事のなかには准組合員もいます。女性部員・青年部員にも多くの准組合員がいます。当JAの支店行動計画の中心となっている各支店の協力委員会のメンバーのうち10%ほどは准組合員です。またその支店行動計画のイベントにも多くの准組合員が参加します。さらに平成初期より開催してきた「准組合員懇談会」では准組合員の方から意見を聴取し、経営にも活かしています。また、広報誌に対するお便り(毎月70~80通程度ですが)の半数は准組合員からのものです。そうです、当JAは准組合員の意思反映はできているのです。

 今後は、このような意思反映の取組みを継続するとともに、新しく建築した直売所「博多じょうもんさん花畑市場」で買い物してくださる准組合員のモニター制度など新たな取組みも始める予定です。そして、これまでも訴えてきた『我々JA福岡市は、万一食料が不足するという有事の際には、正組合員農家が丹精込めて生産する米・野菜などの農産物を優先的に供給します。だから、准組合員の皆さん、大いにJAの直売所などで日頃から農産物を購入していただくことはもちろん、信用・共済事業という協同活動にもどんどん参画してください』というメッセージを伝えていきたいと考えます。これからは、先述の既に行なっている意思反映の取組みを継続するとともに、准組合員がJA事業を利用するということはまさにその意思に基づく結果であり、それが地域農業の振興にも寄与しているということを再認識・再整理して、今後の准組合員の意思反映を考えていきます。