1.日 時  令和41020日(木) 1330分~1650

2.場 所  エッサム神田ホール2号館 6階(2-602)会議室(受け付けは13時より)

〒101-0047東京都千代田区内神田3-24-5  JR神田駅 東口・北口・西口 徒歩2分
TEL 03-3254-8787 FAX 03-3254-8808 

●実参加とズーム(オンライン)・録画方式の併用

3.参加者  主にJA役職員

4.日 程  

時 間内 容
1330(司会) 東京農業大学 名誉教授 白石 正彦
13時30分~13時35分(開会挨拶) 新世紀JA研究会代表  JA菊池(熊本県)  代表理事組合長  三角 修
1335分~1340「解 題」 新世紀JA研究会 常任幹事 福間 莞爾
1340分~1420信用事業における情勢認識と今後の取組みについて 農林中央金庫 JAバンク統括部 副部長  桑野 直彦 氏 
1420分~1430質疑
1430分~15JA信用事業の取り組み~農業融資について」 JA水戸 常務理事  宮田 清 氏
15時~1510質疑
1510分~1540JA信用事業の取り組み~資産管理について」 JAしまね 出雲地区本部 係長  片井 義文 氏
1540分~1550質疑
1550時~16休憩
16時~1640「早期警戒制度下のJA中期計画~信用事業戦略をどうするか」 公認会計士 甲斐野 新一郎 氏
1640分~1650質疑
16時50分        閉会

ZOOMの編集動画

「信用事業における情勢認識と今後の取組みについて」 農林中央金庫 JAバンク統括部 副部長  桑野 直彦 氏 

「JA信用事業の取り組み~農業融資について」 JA水戸 常務理事  宮田 清 氏

「JA信用事業の取り組み~資産管理について」 JAしまね 出雲地区本部 係長  片井 義文 氏

講演要旨

1.相続問題は都市部だけの問題ではない

とかく相続の問題は都市部だけの問題として、地方では「関係ないこと」という認識が大多数を占めています。しかし、それは大きな誤解で、相続とは世代が変わることを意味し、どこでも必ず起こります。また、地方特有の相続問題の難しさもあります。

1つめは、不動産の評価です。島根県出雲市には、農地に対する課税評価額について、固定資産税と相続税とで評価方法が大きく異なる地区があります。

組合員の感覚では「農地の評価額は低いので、大した資産にならない」という認識がある場合、想定外の相続税負担が生じることがあります。

2つめは、遺産分けの問題です。いわゆる相続争い(争族問題)です。一般的な相続争いとは逆に「あの財産は絶対に相続したくない」と、財産の押し付け合いとなることがあります。

いずれにせよ、さまざまな相続手続きを、円滑・円満に進めていくことができるかどうかということが、一番の相続問題となります。

2.JAしまね出雲地区本部における相続相談

JAしまね出雲地区本部では、JA世田谷目黒の資産サポート体制をベースに、出雲地域に合った形へアレンジしながら試行錯誤をしてきました。

相続事前相談は、相続シミュレーション(税額概算の算出、財産分与の方法)、遺言書(公正証書遺言)作成支援、争族対策、生前贈与支援等、相続事後相談は、各種相続手続きのサポート、遺産分割のサポート、相続税申告手続きのお手伝い、相続登記のお手伝い等が主な相談対応内容です。

相続相談にあたって、JAとして(JA職員として)、踏み込んで良い領域かどうかの見極め、対応して良いかの判断力が重要となってきます。特に、各種法律違反行為を行わないことには、細心の注意を払う必要があります。

しかし、専門家にすべて丸投げでは、JAが取り組む意味がありません。常にJAが組合員・専門家との間に立ち対応していきます。

そして、組合員の疑問・悩みに真摯に向き合い、一緒に解決していくという姿勢が組合員からの信頼につながります。

3.組合員・JA両者の目線で考える相続手続きと相続相談

相続が起こると、相続人は様々な手続きをする必要があります。このため、多くの方が相談するところがなく途方に暮れてしまいます。

一方JAは、JAの事務手続きだけできれば良いと考えてしまいます。また、相続手続きは難しいという考えから、一部の職員しか対応できないことが多いです。

どちらの目線でも共通して言えることは、相続手続きは一筋縄ではいかないという感覚を持っているということです。

このため、両者の目線(立場)を考えた相談対応(各種サポート)が肝となると思います。

4.JAしまね出雲地区本部の相談体制

支店窓口においては、相続手続き来店時の声掛け、葬祭費用振込時の声掛けから、組合員の相談ニーズを掘り起こしていきます。

渉外担当者は、担当地区での相続発生先の確認、そして葬儀後お悔み訪問の際の声掛けが、相談ニーズの掘り起こしにつながります。相続相談担当者は、支店からの相談・依頼により、支店職員と一緒に対応していくことを基本としています。

組合員対応の最前線である支店職員と、相続相談担当者がそれぞれの立場で連携・協力していく体制を構築できたことが、JAしまね出雲地区本部において相続相談が確立されていった要因だと思います。

JA職員として一番大事なことは「組合員との良好な関係づくり」「組合員の悩みを汲み取る、敏感にキャッチする」ことです。

5.JAしまね出雲地区本部における相続相談活動実績

JAしまね出雲地区本部では、毎年100件~150件の新規相談を受付けております。

相続相談は無料相談ですので、直接的な収益は生みません。しかし、貯金流入、共済契約等、各種事業実績につながっています。

 信用事業に関連し、特に注目すべき数字は、相続貯金の留保状況です。

 令和元年10月から令和4年3月までの2年6か月間の算出結果ですが、全体では相続貯金額8,027,074千円、貯金留保率88.0%に対し、相続相談対応先は相続貯金額949,019千円、貯金留保率98.6%でした。

これは、相続相談が貯金留保率向上に大きく貢献しているといえ、相続相談の重要性を顕著に表しているといえます。

6.JAが相続相談に取り組むのはなぜか

JA世田谷目黒・床爪相談役、上保理事長から、ことあるごとに教えていただいたことがあります。

組合員から「農協に全部任せあるから、わしが死んだら農協に相談に行け」と後継者に言ってもらうことこそが、次世代対策・事業基盤対策ということです。相続は、組合員の家・JA事業にとって、想像以上に大きな出来事であり、JAが率先して関わっていくことが重要だと思います。

令和4年9月の人事異動により、組合員対応の最前線である支店職員となりました。立場は変わりましたが、意識を変えることなく、相続相談で学んできたことを生かしていきたいと思います。

今後も、組合員に愛される職員、頼られる職員を目指し、業務に邁進してまいります。

講演資料

「早期警戒制度下のJA中期計画~信用事業戦略をどうするか」
 公認会計士 甲斐野 新一郎 氏

講演要旨