1.日 時  令和529日(木) 1345分~1645

2.場 所  JAグループ茨城「クオリテ Lab」(茨城県JA会館1階)

ズーム(オンライン)・録画方式による

3.参加者  主にJA役職員    

4.日 程  

時 間内 容
1345(司会) 東京農業大学 名誉教授 白石 正彦
1345分~1350(開会挨拶) 新世紀JA研究会代表  JA菊池(熊本県)  代表理事組合長  三角 修
1350分~1355「解 題」 新世紀JA研究会 常任幹事 福間 莞爾
1355分~1415「儲かる農業の実現に向けて」 茨城県知事  大井川 和彦 氏
1415分~1425質疑
1425分~1435JAグループ茨城の対応」 茨城県5連会長  八木岡 努 氏
1435分~1445休憩
1445分~1530「枝物の振興による耕作放棄地解消の取り組み」 JA常陸 奥久慈枝物部会 会長 石川 幸太郎 氏
1530時~1540質疑
1540分~1625「集落営農の課題とJAの役割」 JAいわて中央 常務理事 畠山 進 氏
1625分~1635質疑
1635分~1645総合質疑
1645閉会

セミナーの動画

「儲かる農業の実現に向けて」 茨城県知事  大井川 和彦 氏

「JAグループ茨城の対応」 茨城県5連会長  八木岡 努 氏

ご挨拶を兼ね、知事と石川さんの話を繋ぐコメントをお話しされる予定です。当日のセミナーで御覧下さい。

「枝物の振興による耕作放棄地解消の取り組み」 JA常陸 奥久慈枝物部会 会長 石川 幸太郎 氏

「集落営農の課題とJAの役割」 JAいわて中央 常務理事 畠山 進 氏

講演要旨

集落営農の課題とJAの役割

JAいわて中央 常務理事 畠山 進

1.はじめに

 JAいわて中央では、令和3年度に農業・JAを取り巻く厳しい環境に対応して行くために、経営基盤再構築(営農経済・支所・出張所等拠点の再編)を行いました。将来にわたってJAの総合事業を堅持して、“「食農立国」JAいわて中央”として組合員や地域住民への高水準なサービスの提供を継続していく組織となるための決断でした。

 再編の内容としては、8支所6出張所あった金融店舗をJAいわて中央が広域合併する前の母体である4JAの各4カ所に支所を配置し、農業振興の拠点となる地域営農センター機能(グリーン店舗含む)と金融・共済の支所機能を同一敷地内に配置することで、組合員サービスの利便性向上が大きな狙いでした。総合事業の強みを最大限に発揮して組合員の多様な要望に応えて行くとともに、農業関連分野に経営資源の再配分が可能となりました。

 令和4年度には、第八次中期3カ年計画を策定し、基本方針として持続可能な「食農立国」確立、持続可能な地域社会の実現、盤石なJA経営の確立を掲げております。特にも、持続可能な「食農立国」確立においては、集落営農が大きな位置づけとなっています。

 ここで、JAいわて中央管内の農業を取り巻く環境について触れておきます。基幹的農業従事者がこの20年間で約半分、平均年齢は69歳となり、農業従事者の高齢化が進んでいます。農業・販売規模では、2ha以下の農業経営体が減少する一方で、10ha以上の農業経営体が増加しており、約10%の経営体が経営耕地面積の64%を占め、約7%の経営体が約60%の販売金額をしめているなど、大規模な農業経営体のシェアが進んでいます。

水田営農の殆どが集落営農で実践されていることが、主な要因となっています。以上のことから、集落営農において農業従事者・後継者不在となれば大きな単位での耕作放棄地の増加による生産・販売の喪失が危惧される状況とも言えます。

 平成19年度に、農業の構造改革を加速化する観点から品目横断的経営安定対策が導入され、集落ぐるみで水稲と小麦等を一体とした経理一元のもと多くの集落営農組織が設立されました。集落営農組織は、米の転作の拡大により、集落内でのブロックローテーションによる小麦生産に取り組みました。法人化が要件ではありましたが、法人化はあまり進みませんでした。これを機に、農業機械・施設の共同利用が進められ個人所有の農業機械更新が行われなくなりました。農業生産を集落営農組織や認定農業者などの大規模経営体へ注力したことにより、家族農業をなおざりにしてしまったという反省点もあります。

2.集落営農の課題

 集落営農組織の殆どが平成19年以降設立し16年程経過していますが、現在においても当設立時の役員、基幹作業従事者(オペレーター)が中心となって運営されています。新たな役員やオペレーターは殆ど無く、役員、オペレーターは高齢化しています。背景には、会社員の定年延長が影響しており65歳からの就農は難しいと考えていることや、米価の下落により離農する構成員が増加しており、後継者不足がみられます。

集落の農地の受け皿は集落営農組織が担っていますが、離農による農地の出し手が多く、集落営農組織は労働力不足に陥っています。更には、任意組織である集落営農組織は積立金も無く農業機械の更新ができず農業機械の老朽化が進んでいます。人が先か、機械が先かの状況となっています。

 集落の農地の受け皿の高齢化や労働力不足は、将来において大きな単位での耕作放棄地の発生に繋がるのではと懸念しています。

2.JAの役割

 集落営農組織については、法人化支援を行い労働力確保のための選択肢を増やし、経営の高度化を図る必要があります。また、組織の統合による効率的な組織運営や、農業機械の更新、スマート農業の導入などの支援が必要です。

 そのためには集落営農組織の経営安定が必要であり、JAがしっかりとした地域農業振興計画を策定し農業所得増大のために指導・販売に全力で取り組んで行かなければなりません。また、集落営農組織の構成員となる家族農業にも目を向け、農業後継者を確保していくことにも注力しなければなりません。

 一方、農業後継者や農作業従事者の減少を地域、集落単位でカバーできなくなりつつあり、特に中山間地域での耕作放棄地の増加は顕著であります。JAが農地の利用権を有して広域での特定農作業受委託契約による農地の維持・管理や、JA自らが農業経営に直接携わる時期がすぐに来ると感じています。農地が無くなると農業もなくなります。JAが、地域・集落の農地を守るということは、JAが将来にわたり組合員や地域の皆様へサービスを提供し続けるために必要なことで、重要な役割を担っていると感じています。

3.最後に

 国は、国民に対して安定的に食料を供給するため、限りある農地を適切に保全管理する農業政策が必要であり、農業後継者確保の観点から農業者個々の所得が補償され安定した農業経営が継続される対策を特にも中山間地域に対して講じることを要望したい。

講演資料