つり人社編集部編『釣りはハリが9割』2023年4月1日、つり人社、1,980円191頁

「チンパンジーの笑顔」雑読雑感 その82

つり人社編集部編『釣りはハリが9割』2023年4月1日、つり人社、1,980円191頁

釣り人にとって、ハリは魚を得るために無くてはならい大切なものである。そんな当たり前のことを今更ながらに考えさせられた。と同時に、JA経営にとって、魚とハリに該当するものは何だろう。魚は組合等利用者であるが、ハリに相当するものは何だろうと考えさせられた。人材かもしれないと思ったときに、改めて現在の人材育成方法で良いのだろうかと思った次第。

 組合員等利用者を詳細に分析し把握することは、マーケティングの出発点である。想定される潜在利用者はどのくらいいるのか?地域構成は?購買の際に重視する要因は?情報はどこまで集めるのか?購買までにどの程度の期間を要するのか?いつ、どこで購買を行うのか?どのように購買するのか?どの程度競合店と比べるか?購買の意思決定は誰か?購買に当たって誰の意見を聞くか?価格は?普及度(人が使っていたら自分も買う)は?

 一つ一つ明らかにするか前提を置いて、マーケティングしているだろうか。

世の中では、ワン・トゥ・ワン・マーケティングリ(レーションシップ・マーケティング)が言われて久しい。「顧客一人ひとり」を把握することを前提に展開されるマーケティングであり、市場シェアを高めることではなく「顧客内シェア」をいかに高めるかということに焦点が当てられている。重要なのは、顧客を企業にとっての「パートナー」と考え、顧客との間に好ましい関係を構築しながら、生涯にわたってニーズを満たす製品を提供し続け、最大限の利益をその顧客から得ることである。長期にわたって顧客との良好な関係を構築することで、ライフ・タイム・バリュー(Life Time Value=生涯価値)を獲得するということである。JAは、組合員というJAとの信頼関係を有する「顧客」をもち、多様な事業取引を長く行っている。JAとの関係性は、事業取引面できわめて太く、運営や組織活動においても積極的に参加し、多様な関係性を持っている。この多様な関係性を、個別性とグルーピングによって特徴を把握し、多様性に対応する方策・実践につなげていくことが求められている。良質の組合員等利用者の早期囲い込みと、囲い込んだ組合員等利用者と早期に協力関係を築き、スイッチング・コスト(既存の取引先を新規の取引先へ変更することに伴うコスト)を高めておくことがポイントであるという。

色んなことを考えさせられた一冊であった。もちろん、釣り好きにもお勧めしますよ。

いつものように、抜粋しておきます。

「はじめに 角度を変えれば本質が見える

 釣りは究極のところ「どうすれば(もっと)釣れるか」の繰り返しです。トライ&エラーの楽しい無限ループの中でさまざまな失敗や成功体験、発見があり、明日の技術向上と釣果につながっていきます。ところか、ふと気付くとこのサイクルが上手く回らなくなっている。多少は経験があり一人で釣りに行く、釣果もそこそこという方に見られるケースで、ありかちなのはいつも同じ場所(得意フィールド)で同じような釣りをしているタイプ。やがて伸び悩みやマンネリを感じて釣りがつまらなくなってしまいます。こういう発展性のないパターンに陥る方は意外に多いのではないでしょうか。

 本書はそんな悩める方にこそ手にとっていただきたいマルチビタミン的な書です。

 ちょっと刺激的なこの書名。藁にもすがる気持ちで手に取られたあなたは今、まさにスランプど真ん巾なのかもしれません。大丈夫です、本書のどこかに悩みを解決するヒントがきっと見つかるはずです。

 半信半疑という方は、かなりの経験者とお見受けします。釣りは複雑に絡み合う諸要素を読み解き、釣果という正解を導き出す遊びです。それをよく知るあなたが断定的な書名に疑問を持たれるのはもっともです。にもかかわらず手にとってくださったということは、やはり何か悩みがあるか。あるいは釣りの情報・知識にとことんどん欲な方か。あなたがどちらであっても、新しい考えるヒントをご提供できると思います。

 『釣りは『リが9割』という本書のタイトル、どこかで剛いたような気もしますが編者は至って真面目です。「釣りはそんなに単純じゃないしと反発をもたれるかもしれません。とはいえ魚と釣り人の接点は(リ先にしか存在しないという事実に立てば、これはある意味真実です。では、少し言い方を変えて『今日の釣りの決定打は(リだったにならいかがでしょう。これだけではその日何釣りをしていたかも不明ですが、想像力のたくましい人なら自分の経験を重ね合わせ、この釣り大は一日巾さまざまなことを試し、魚と対話を尽くした結果のひと言がこれだったのだろうと考え、今度は納得される方も多いのではないでしょうか。

 ということは、これは表現、角度の問題です。その時々で成否を分けたであろう『9割』

的な最大要素は、確かに存在するといえます。

 『釣りは『リが9割』一見極端にも思えるこの言い切りを日々の釣りへの大胆な問題提起としてとらえ、このような視点から釣りを構成する一つ一つの要素を見つめ直してみませんか。その結果、今まで見過ごしていた何かを意識するようになったり、異なるジャンルへの応川を思いついたり、同じ物事でも違う側面から考察できるようになればしめたもの。それらは自分の釣りのニュー・ベイシックとなり、『どうすれば(もっと)釣れる?」の問いに、明快な答えを出してくれる源となることでしょう。』(はじめに、2~3頁)

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