農業協同組合法 第3版

明田作著、2021年3月、経済法令研究会、4,950円
「チンパンジーの笑顔」雑読雑感 その10

巻末に索引が付いており、農協法上の疑問が湧いたら、直ぐに該当する箇所を見つけ出し解説を見ることができる。中央会の経営相談機能が低下している県域のJAにあっては、必須の教科書となることでしょう。注書きで判例や主要な見解も記されており、著者の博識・勉強振りには頭が下がる。戦前の協同組合法制として、農業団体法の解説は協同組合の歴史研究としても大変興味深いものがある。
例によって、幾つか抜粋します。
「本書は、著者が長年、全国農業協同組合中央会(JA全中)において、農業協同組合法(農協法)の実務に身を置いた経験をもとにまとめ上げた農協法の解説書です。法制史から各種事業の規制、組合の機関、会計、組織変更等に及ぶまでの、農協法の全体が把握できます。」(表紙裏の解説より)
「本書第二版の改訂の契機となった農業協同組合法等の一部を改正する法律等の法律(平成27年9月4日法律第63号)が公布されて以降,すでに軽微な改正を含めすでに令和2年6月の改正(令和2年法律第50号)に至るまで, 15回もの法律改正が行われている。
平成27年改正法の附則に基づく5年後見直しを今春に控えているが,他の法律の改正による実質的な内容の変更等を伴う改正も少なからずあったことゃ,平成27年の改正をめぐる議論などから戦後の農業協同組合法に大きな影響を与えることとなった戦前の農業団体法の内容についても補足しておいた方がよいと考えられたことなどもあり,ここに第三訂版として,改訂版公刊後の法律改正を反映した内容に改めることとしたほか,全般にわたって所要の見直しを行った。
令和元年の会社法改正に伴い,農業協同組合法等関係法律の改正も行われ,農業協同組合法にも役員等の責任に関連する補償契約および賠償責任保険契約に関する条項が新設されるとともに総会資料の電子提供措置に関する条項も新設された。
これらの改正のうち,前者の役貝等の責任に関する補償契約および賠償責任保険契約に関する規定は,令和3年3月1日から施行され,総会資料の電子提供措樅に関する規定については,本改訂版の発刊時点では施行期日に関する政令が未制定であるが,いずれも改正後の内容に基づき記述している。
また、令和2年の金融サービスの利用者の利便の向上及び保護を図るための金融商品の販売等に関する法律等の一部を改正する法律(令和2年法律第50号)による改正内容のうち、本書に関係するものは、同法の公布日(令和2年6月12日)から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行されるが、実質的な内容には変更がないことから改正後の規定に基づき記述内容を改めた。」(第三版はしがきより)