『ワーカーズコープ 協同ではたらくガイドブック-実践編-』2021年12月1日、一般社団法人協同総合研究所、1,100円

「チンパンジーの笑顔」雑読雑感 その47

『ワーカーズコープ 協同ではたらくガイドブック-実践編-』2021年12月1日、一般社団法人協同総合研究所、1,100円

2020年に成立した「労働者協同組合法」の施行日が、2022年10月1日とされました。労働者協同組合とはどのような協同組合なのか、どのような取り組みを行っているのか。法施行前に既に取り組まれている実践事例を紹介している。

チンパンジーが気づいた点を抜粋しておきます。出資配当がないとか、小さい組合は、組合員全員で監査会を組織するとかなるほどと思いましたよ。

「4組合員 働く人のルールを知ろう
①出資金について
出資金一口の金額、必要な出資口数はそれぞれの組合で定めます(現物出資も可)。一組合員の出資口数は、原則的に総口数の1/4以下(3人以下の組合は適用されない)と規定されています。たとえば、一人の組合員が出資金総額の半分を出すのは違法ということです。

組合員の責任は出資額を限度とします。仮に組合が破産した揚合でも、組合員は出資額以上の責任を負わされることはありません。

②議決権及び選挙権
組合員は、平等に一人一票の議決権及び選挙権を持っています。この権利は他の協同組合にも共通するもので。株式会社の場合は一株一票なので、お金ではなく人を中心に置く協同組合の特徴をよく表しています。

また、組合の意思決定を労偕者である組合員が行うことを明確にするために労働契約を締結する絎合員が、議決権の過半数を保有しなければならないと定められています.つまり.労働契約を結ぱない代表理事、専任理事、監事である組合員の人数は半数未満でなければいけません。

③加入・脱退
組合具になれるのは個人だけで、団体・組織が組合員になることはできません。組合員は任意に加入・脱退できます。「正当な理由」なしに加入を拒否できないと記されていますか、誰でも自由に加入できるという意味ではありません。たとえば仕事の空きがない。その仕事を行うためには資格が必要といった組合側の事情も、当然のことながら「正当な理由」となります。

加入・脱退には手続きが必要であり、除名についての規定もあります。また。組合員の脱退は、直ちに労働契約の終了とはなりません(別途手続きが必要です)。

④労働契約の締結
組合は、事業に従事する組合員との間で労働契約を締結しなければなりません。いわゆるブラック企業に悪用されてチープレイバーを生むおそれを払拭し、ディーセントワーク実現の重要性を踏まえてのことですが、このことで労働者協同組合の組合員は、労働者として法的に明確に規定されたことになります。

組合員には、労働基準法、最低賃金法、労働組合法などの労慟関係法令が適用され、社会保険(健康保険、厚生年金保険.介護保険、雇用保険、労災保険)にも加入できます。ただし、組合の業務を執行する組合員(代表理事)、理事の職務のみを行う組合員(専任理事)は使用者惻の立場にあること、監事である組合員については監査の独立性を担保する必要があることから.労働契約を締結することはできません。」(労働者協同組合を立ち上げよう、P43)

「6 管理 組合のルールづくりや総会などについて

① 定款・規約
定款は、基本事項を定めた「組合の憲法」とも言えるものです。労働者協同組合は準則主義で設立されることからも、団体の理念や特徴を反映した定款を作成することが望まれます。定款に記載される事項は以下の3つがあります。

1.絶対的必要記載事項
事業、名称、所在地、組合員の資格、出資一口の額など必ず記載しなければならない15の事項。特徴的な記載事項として「組合員の意見を反映させる方策に関する規定」があります。

2.相対的必要記載事項
必ず記載する必要はありませんが、定款に定めがないと効力を発揮しない事項。

3.任意的記載事項
法律に反しない内容で、任意に記載できる事項。

定款とは別に、総会及び総代会、業務の執行及び会計、役員、組合員、その他について規約を定めることができます。

② 役員
理事の定数は3人以上(理事は組合員であること)。監事の定数は1人以上です。原則として役員は総会において選挙により選出します(無記名、一人一票)。理事の任期は2年以内、監事の任期は4年以内です。すべての理事で理事会を組織し、理事会は代表理事1人を選定します。

③組合員監査会
20人以下の小規模の組合においては、監事の代わりに理事以外のすべての組合員で組織する組合員監査会(3人以上)を設置して、理事の職務執行を監査することができます。小規模の組合では全員が事業に従事することが考えられるため、特定の組合員が監事となり慟けなくなることを防ぐ意味があります。

④ 総会(総代会)
総会は組合の最高意思決定機関です。総会には、毎事業年度1回召集しなければならない通常総会と、必要に応じて召集する臨時総会があります。臨時総会は組合員1/5以上の同意により召集を請求することができ、その場合、理事会は20日以内に召集しなければなりません。総会の議決事項は、定款変更、規約の設定・変更、収支予算及び事業計画、連合会への加入・脱退などです。

理事は、各事業年度における「組合員の意見を反映させる方策の実施の状況及びその結果」を総会に報告しなければなりません。就業規則の作成等があった場合は、総会に報告しなければなりません。また組合員の総数が200人を超える組合は、定款に定めるところにより、総会に代わる総代会を設けることができます。総代の定数は総組合員数の1/10以上と定められています。

⑤剰余金の取り扱い
利益が出た場合の剰余金処分について規定があります。まず、持続可能な経営を維持するために準備金を積み立てます。次に、継続的な仕事おこしと人材育成のための資金として、就労創出等積立金と教育繰越金を確保しなければなりません。その上で、余裕があれば剰余金の配当を行うことができます。

定款で定める額(出資総額の1/2以上)に達するまで、剰余金の1/10以上を準備金として積み立てます。剰余金の1/20以上を就労創出等積立金として積み立て、1/20以上を教育繰越金として繰り越します。準備金、就労創出等積立金、教育繰越金を控除した後で、定款の定めにより事業に従事した程度に応じて剰余金の配当(従事分量配当)ができます。なお、出資金に対する配当はできません。」(労働者協同組合を立ち上げよう、P45)

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