高木修監修・田尾雅夫編著『シリーズ 21世紀の社会心理学2 組織行動の社会心理学』2001年9月10日、北大路書房、2,750円

「チンパンジーの笑顔」雑読雑感 その67

高木修監修・田尾雅夫編著『シリーズ 21世紀の社会心理学2 組織行動の社会心理学』2001年9月10日、北大路書房、2,750円

読んだことのあるような気にさせる本でした。
経営管理、人事管理上で必要な理論として、これまでの職業人生のなかで色んな研修を受けてきたからでしょうか。

監修・編著者の略歴は、次の通り。

「監修 高木修
1940年京都府生まれ。現職 関西大字名言教授。 学歴 1970年京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学・文博。研究分野 社会心理字・対人行動学。著書 「他者(ひと)を助ける行動」の心弱学(共編著)光生館1987年、社会心理学への招待:若者の人聞行動学(編著)有斐閣1995年、被服と化粧の社会心理学:人はなぜ装うのか(監修)北大路書房1996年、人を助ける心:援助行動の社会心君学 サイエンス社1998年、援励とサポートの社会心理学(監著)北大路書房2000年、人間・社会関係のダイナミクス:ミクロからマクロまでの多角的分祈(分担)関西大字経済・政冶研究所1001年

編集 田尾雅夫
1946年香川県生まれ。現職 愛知学院大字大学院経営学研究科致授。学歴 1975年京都大字大学院文学研究科(心理学専攻)を単位取得の上退学・博士(経済学)。研究分野:組織心理学・経営学。著書 企業小説に学ぶ組織論入門 有斐閣1996年、脱一会社人間 福村出版1996年、「会社人同」の研究(編)京都大学出版会1997年、組織論(共著)有斐閣1998年、会社人閊はとこへ行く 中公新書1996年、ボランタリー組織の経営管理 有斐閣1999年、組韈の心理学(改訂版) 有斐閣1999年、高齢者就労の社会心理学(共著)ナカニシヤ出版2001年」(奥付より)

チンパンジーが記録したい箇所の抜粋は、次の通りです。

「組織は人の集まりです。人がいなければ組織は成り立たちません。この意味で,すべての組織は『甲陽軍鑑』という古書になぞらえば,「人は城,人は石垣,人は堀」であります。組織とは,人から成り,人のためにあるという,ヒューマン・オーガニゼーション(human organization)です。けれども,組織が,ただ単なる人の集まりだけであるとするのは,素朴な見方というべきでしょう。それほど単純なことではありません。組織は人から成り,人のためであると同時に,仕事のための組織,ワーク・オーガニゼーション(work organization)でもあります。組織では,各自は自身のためだけではなく全体のために,それぞれの持ち場で働かなければならないのです。」(序章 組織行動の社会心理学の課題、P1)

「2 動機づけのための諸制度

ところで企業が生産性を上げるためには,従業員を動機づけることが必要になります。多くの企業で導入されたり導入が計画されている人事詳価制度や報酬制度のなかには,従業員の動價づけを意図したものが少なくありません。ここでは,そのうちのいくつかを紹介しておきましょう。

(1)目標管理制度(MBO:management by objectives)

個人や組織が目標を掲げ,その達成度によって評価する制度。個人の目標は所属部署の目標,そして企業全体の目標とリンクするように設定されます。したがって理論上は,個々人,各部署が目標を達成すれば,必然的に企業の目標も達成されることになります。

また個人の目標はトッブダウンで一方的に与えられるのではなく,各自が上司と相談しながら主体的に設定することが原則です。すなわち,単に目標の達成そのものが重要なだけではなく,従業員がみずから進んで目標設定にかかわることによって組織や職務へのコミットメントを高めようというねらいもあります。

目標管理は1950年代にドラッカー(Drucker.P. F.)によって呈示され,その後わが国の企業にも普及していきました。ちなみに産業労働研究所が1998年に行なった調査によると,従業員1000人以上の企業のうち約72%が目標管理を実施しています。とくに近年,年俸制など成果主義的な報酬制度とセットで導入するヶ-スが多くみられます。

(2)ストックオプション

将来,白社の株式をあらかじめ決められた価格で購人する権利を従業員に与える制度。自社の株価が上昇すれば,購入後売却することによって購入価格と売却価格の差額を手にすることができます。なお株式の購入はあくまでも権利であるため,株価が低下している場合には購入する義務はありません。

 企業の業績が上がれば株価も上昇するため,制度の対象となる役員や従業員を自社の業績向上のために動機づける効果があると考えられています。

 ストックオプションは,ベンチャー企業などのように経営資源が比較的乏しいにもかかわらず将来の成長が期待される企業が,有能な人材を穫得するために有効な手段となります。産業労働研究所の調査では,1000人以上の企業でも1998年現在の実施率は約6%にすぎませんが,商法改正によって対象が広く認められるようになったため,今後はいっそう普及することが予想されます。

(3)小集団活動

 職場ごとに職制とは別の小集団をつくリ,品質管理や生産性向上など貝体的なテーマを掲げて取り組む自主的・自律的な活動。代表的なものに,QC (quality control)サークルやZD (zero defect)運動などがあります。

 小集団活動は前述の目標管理と同様に,その直接的な効果だけでなくメンバーの参加による動機づけを目的としています。したがってあくまでも自主参加が建前であり,かつてはおもに勤務時問外に行なわれました。

 小集団活劭のなかでも代表的なQCサークルは,もともとアメリカで誕生しましたが,木場のアメリカよりもむしろわが国で広く普及し,生産現場だけでなく事務部門などにも取り入れられました。企業によってはQCサークルの社内コンテストを行ない,優れた活動を表彰するなどして集団の一体感,参加意欲の醸成がはかられています。」(第1部組織論の視点-組織とは何か-、第2章組織と人間、P22)

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