日本農業経済学会編著『農業経済学辞典』令和元年11月25日、丸善出版、20,000円+税

「チンパンジーの笑顔」雑読雑感 その39

寡聞にして、日本農業経済学会がこのような素晴らしい業績を挙げていることを知らなかった。値段が値段だけに気軽には買えませんが、各JA・連合会や研究機関に1冊置くべき本です。
執筆者150名以上の農業経済学者の分担による力作ですが、恥ずかしながら知っている先生は15人程で最近の勉強不足を思い知らされました。膨大な量なので、目次を中心に引用しておきます。本文の他に、見出し語五十音索引、引用・参考文献、事項索引、人名索引が丁寧に付されています。
「目 次
第1章 経済学の発展と農業(編集担当:矢口芳生・盛田清秀)
1-1 世界の食料需給と農業 2
1-2 農業の国際比較 4
1-3 農業と工業 6
1-4 農業保護 8
1-5 地代と農業 10
1-6 立地と農業 12
1-7 農業の産業構造 14
1-8 農業の企業形態 16
1-9 アダム・スミス以前の経済学と農業 18
1-10 リカードの比較優位説と農業
1-11 人口と農業 22
1-12 リストの農地制度論 24
1-13 マルクス経済学と農業 26
1-14 近代経済学と農業 28
1-15 イギリス農業革命とエンクロージャー 30
1-16 経済発展と農業 32
1-17 持続可能な経済社会と農業 34
第2章 農業経済学のユニークネスと新展開(編集担当:池上甲一・王真乙介)
2-1 農業経済学の対象と方法 38
2-2 応用科学としての農業経済学 40
2-3 農法論と農業技術 42
2-4 農業論争 44
2-5 農業・農村の外部効果 46
2-6 生物多様性の保全 48
2-7 農業・農村の教育力・福祉力 50
2-8 イギリスのコモンズと日本の入会(入相) 52
2-9 地域資源の利用・管理主体としてのむら 54
2-10 里山・里海 56
2-11 世界と日本の家族農業 58
2-12 生活経営体 60
2-13 食の3重性 62
2-14 食料の経済的特徴 64
2-15 食の文化的側面 66
2-16 食関連産業の発展 68
2-17-l 実験・行動経済学と新制度派からのアプローチ① 実験・行動経済学 70
2-17-2 実験・行動経済学と新制度派からのアプローチ② 新制度派 71
2-18 小農 72
第3章 農業と技術(編集担当:梅本雅・立川雅司)
3-1 農業技術の発展 76
3-2 中型機械化技術 78
3-3 生産力・生産力発展 80
3-4 技術体系 82
3-5 農業技術の類型 84
3-6 明治農法と近代技術 86
3-7 技術普及・普及制度 88
8-8 術評価・技術の経済性分析 90
3-9 技術の研究開発・品種改良 92
3-10 有機農業技術 94
3-11 環境保全型農業技術 96
3-12 バイオテクノロジー- 98
3-13 農業におけるにICT・RT技術
3-14 作付体系と土地利用方式 102
3-15 輪作と田畑輪換 104
3-16 水稲直播栽培 106
3-17 植物工場 108
第4章 農業経営(編集担当:納口るり子・盛田清秀)
4-1 家族農業経営 112
4-2 経営規模 114
4-3 農業労働力 116
4-4 水田作経営 118
4-5 畑作経営 120
4-6 畜産経営 122
4-7 園芸経営 124
4-8 農業経営の管理 126
4-9 農業経営の財務と会計 128
4-10 経営者能力 130
4-11 農業経営戦略 132
4-12 農産物マーケティング 134
4-13 農産物の販売チャネル 136
4-14 複合経営 138
4-15 6次産業化・農商工連携 140
4-16 経営継承 142
4-17 農業の新規参入 144
4-18 農業生産組織・ファーミングシステム 146
4-19 農業経営と地域・集落 148
4-20 農業経営のリスク・マネジメント(リスク管理) 152
第5章 農業と資源投入(編集担当:茂野隆一・生源寺員一)
5-1 農業生産と土地 156
5-2 地代と農地価格 158
5-3 農地の集積 160
5-4 農地の転用 162
5 5農業労働力の就業形態 164
5-6 農業労働力の流出 166
5-7 地域労働市場と兼業農家 168
5-8 農業の多様な担い手 170
5-9 農業における女性の役割 172
5-10 農業の技術と生産関数 174
5-11 農業の技術進歩の経済分析 176
5-12 農業の機械化と規模の経済 178
5-13 農業投資と資本ストック 180
5-14 農業金融の特質 182
5-15 農業・農村の資金循環 184
第6章 農産物市場と価格形成(編集担当:荒幡克己 生源寺員一)
6-1 完全競争と不完全競争 188
6-2 農産物市場の短期変動 190
6-3 農産物市場の循環変動 192
6-4 市場の限界と農業政策 194
6-5 農産物の価格支持政策 196
6-6 農産物の価格安定政策 198
6-7 農業所得補償政策 200
6-8 収入保険制度 202
6-9 米市場の特質と米価形成 204
6-10 青果物の価格形成 206
6-11 牛乳・乳製品の価格形成 208
6-12 食肉の価格形成 210
第7章 フードシステムと農業・食品産業(編集担当:中嶋康博・新山陽子)
7-1 フードシステム 214
7-2 産業構造論 214
7-3 産業組織論 218
7-4 流 通 論 220
7-5 米をめぐるフードシステム 222
7-6 青果物をめぐるフードシステム 224
7-7 畜産物をめぐるフードシステム 226
7-8 食品製造業 228
7-9 食品小売業 230
7-10 外食産業・中食産業 232
7-11 直 売 234
7-12 フードシステムにおける産業間の結合
7-13 物流とコールドチェーン 238
7-14 食品機能と製品開発 240
7-15 食品廃棄と削減対策 242
7-16 フード・コミュニケーション 244
7-17 食文化と食育 246
7-18 品質保証と認証制度 248
7-19 地域ブランドと地理的表示保護制 250
7-20 海外直接投資と輸出入 252
第8章 食料消費と消費者行動(編集担当:草苅仁・新山陽子)
8-1 食料消費と消費者行動 256
8-2 行動意思決定論 258
8-3 購買時の食品選択行動 260
8-4 表明選好法
8-5 消費者属性と食料消費 264
8-6 食料需要分析 266
8-7 エンゲル係数とエンゲルの法則 268
8-8 食料消費と消費主体 270
8-9 食生活の洋風化・欧米化 272
8-10 食生活の外部化 274
8-11 食生活の二極化 276
8-12 食生活規範 278
8-13 世帯属性・所得格差と食生活 280
8-14 食行動と食育 282
8-15 食品表示 284
8-16 機能性食品 286
817 食料品アクセス 288
第9章 食品の安全(編集担当:工藤春代・新山陽了)
9-1 国際的な食品安全対策の考え方の発展:国際貿易と食品安全 292
9-2 食品安全のためのリスク低減の枠組み:リスクアナリシス 294
9-3 化学物質のリスク管理とリスク評価 296
9-4 食中毒菌のリスク管理とリスク評価 298
9-5 新技術のリスク管理:遺伝子組換え、ナノテクノロジー 300
9-6 動物感染症・人獣共通感染症のリスク管理とリスク評価 302
9-7 食品を介した放射性物質のリスク管理 304
9-8 費用便益分析・損失評価 306
9-9 農産物・畜産物生産現場の衛生管理と監視の仕組み:一般衛生管理(GAP) 308
9-10 食品製造現場の衛生管理と監視の仕組み:一般衛生管理とHACCP 310
9-11 食品のトレーサビリティと製品回収 312
9-12 食品事故への危機管理 314
9-13 人々のリスク知覚とヒューリスティクス 316
9-14 消費者の食品リスクに対する行動と風評 318
9-15 食品分野のリスクコミユニケーション 320
9-16 食品分野のレギュラトリーサイエンスと専門人材育成 322
9-17 主要国の食品安全行政 324
9-18 日本の食品安全行政 326
9-19 食品安全に関する民間認証制度 328
第10章 農業・農村と環境問題(編集担当:西澤栄一郎・生源寺眞一)
10-1 市場の失敗と農業 332
10-2 農業の多面的機能 334
10-3 日本農業の多面的機能 336
10-4 環境勘定 338
10-5 環境指標 340
10-6 環境の経済的評価 342
10-7 農業環境政策の実際 346
10-8 農業環境政策の実際 346
10-9 農業・農村の持続可能性 348
10-10 環境保全型農業 350
10-11 有機農業の広がり 352
10-12 気候変動と農業・農村 354
10-13 生態系サービス 356
10-14 環境とマーケティング 358
10-15 農業をめぐる資源循環 360
10-16 野生鳥獣害 362
第11章 日本の食料・農業・農村政策(編集担当:福田晋・安藤光義)
11-1 日本農政の展開過程:基本法農政から新基本法へ 366
11-2 食料・農業・農村基本法 368
11-3 食料安全保障 370
11-4 食品の安全・表示・栄養制度の展開 372
11-5 食品産業政策 374
11-6 日本の農産物貿易政策 376
11-7 農地制度 378
11-8 土地利用計画制度 380
11-9 水田農業政策(米生産調整政策) 382
11-10 担い手政策 384
11-11 食管制度から食糧法へ 386
11-12 畜産政策 388
11-13 主産地形成政策 390
11-14 土地改良事業・農業農村整備事業 392
11-15 制度融資と農協金融 394
11-16 農業団体 396
11-17 卸売市場制度 398
11-18 地域資源保全政策 400
11-19 農村環境政策 402
11-20 農業資源と知的財産権 404
第12章 農業生産の立地構造(編集担当:柳村唆介・安藤光義)
12-1 農業生産の立地構造 408
12-2 主要農業地帯の特徴と構造①北海道 410
12-3 主要農業地帯の特徴と構造②東北 412
12-4 主要農業地帯の特徴と構造③北陸 414
12-5 主要農業地帯の特徴と構造④関東・東山 416
12-6 主要農業地帯の特徴と構造⑤東海・近畿 418
12-7 主要農業地帯の特徴と構造⑥中国・四国 420
12-8 主要農業地帯の特徴と構造⑦九州・沖縄 422
12-9 経済地帯別にみた農業①都市および都市近郊 424
12-10 経済地帯別にみた農業②平場農村 426
12-11 経済地帯別にみた農業③中山間地帯 428
12-12 経済地帯別にみた農業④島喚部 430
12-13 主要作目の立地構造①稲作 432
12-14 主要作目の立地構造②畑作 434
12-15 主要作目の立地構造③野菜 436
12-16 主要作目の立地構造④果樹 438
12-17 主要作目の立地構造⑤酪農 440
12-18 主要作目の立地構造⑥肉用牛 442
12-19 主要作目の立地構造⑦養鶏 444
第13章 地域資源と農村(編集担当:小田切徳美・安藤光義)
13-1 地域資源 448
13-2 水 利 450
13-3 牧 野 452
13-4 入会林野 454
13-5 再生可能エネルギー 456
13-6 農村人口問題:過剰人口・兼業化から高齢化,田園回帰へ 458
13-7 農村社会の変質:混住化と高齢化 460
13-8 農村経済:兼業滞留構造から地 域経済の多角化へ 462
13-9 農山漁村の過疎問題 464
13-10 都市と農村の交流 466
13-11 グリーンツーリズム,アグリツーリズム 468
13-12 地方自治体と農村 470
13-13 農村地域経済の内発的発展 472
13-14 多様な主体と農村振興 474
13-15 農村計画 476
13-16 条件不利地域問題と政策:日本 478
13-17 条件不利地域問題と政策:欧州 480
13-18 震災と復興:社会関係資本の重要性 482
第14章 農業史・農村史(編集担当:足立芳宏・松本武祝・玉真之介)
14-1 ヨーロッパ近代農業の成立 486
I4-2 世界農産物市場の成立 488
14-3 農業保護政策の登場 490
14-4 植民地プランテーション農業の展開 492
14-5 農業経営学の系譜 494
14-6 大恐慌・総力戦の農業政策 496
14-7 社会主義と農業 498
14-8 近世農村の成立 500
14-9 農書と老農 502
14-10 地租改正と地主制 504
14-11 米と繭の経済構造 506
14-12 植民地における農業開発 508
14-13 農業団体と農民運動 510
14-14 農業政策(小農保護政策)の展開 512
14-15 戦後改革と農業・農村 514
14-16 日本型食生活の形成 516
14-17 稲の育種 518
14-18 自治村落 520
14-19 農本主義 522
14-20 農業経済学の成立 524
第15章 農村・農業社会学(編集担当:秋津元輝・立川雅司)
15-1 農村社会 528
15-2 集落再編 530
15-3 村落領域論 532
15-4 過疎化・過疎社会 534
15-5 地域活性化 536
15-6 市民農園・体験農園・コミュニティガーデン 538
15-7 農村社会とジェンダー 540
15-8 生産主義とポスト生産主義 542
15-9 帰農現象 544
15-10 オルタナティブ・フード・ネットワーク 546
15-11 食農倫理 548
15-12 農業と地域の相続 550
15-13 都市農業 552
15-14 伝統行事、祭り、芸能 554
15-15 半農半X 556
第16章世界の農業(編集担当:石井圭一・櫻井武司・立川雅司)
16-1 農産物貿易 560
16-2 多国籍企業と農業 562
16-3 世界の関税と非関税措置 566
16-4 戦後貿易体制と農業:GATTからWTOへ 568
16-5 貿易体制の転換と農業:FTA/EPAとTPP 570
16-6 緑の革命 572
16-7 土地収奪 574
16-8 マイクロファイナンス 576
16-9 インフラ整備と携帯電話 578
16-10 構造調整政策と化学肥料補助金 580
16-11 貧困削減 582
16-12 生産性向上と栄養改善 584
16-13 農家家計と非農業所得 586
16-14 海外出稼ぎのインパクト 588
16-15 アメリカの農業 590
16-16-1 カナダの農業 592
16-16-2 オーストラリアの農業 593
16-17 EUの農業 594
16-18-1 イギリスの農業 596
16-18-2 フランスの農業 597
16-18-3 ドイツの農業 598
16-18-4 オランダの農業 599
16-19 中国の農業 600
16-20 東南アジアの農業 602
16-21 インドの農業 604
16-22 南米の農業 606
16-23 アフリカの農業 608
第17章 食料・農業・農村の統計(編集担当:橋詰登.玉真之介)
17-1 統計の種類と利活用 612
17-2 農林業センサス 614
17-3 生産・就業構造に関する統計 616
17-4 集落営農に関する統計 618
17-5 経営収支に関する統計 620
17-6 生産コストに関する統計 622
17-7 農業生産額・農村物価に関する統計 624
17-8 農地面積・農地利用に関する統計 626
17-9 収穫量‘作況および飼養頭羽数に関する統計 628
17-10 農畜産物の流通・輸出入に関する統計 630
17-11 6次産業化に関する統計 632
17-12 食料自給率に関する統計 634
17-13 産業連関表 636
17-14 食品産業に関する統計 638
17-15 食料消費に関する統計 640
17-16 食品の物価に関する統計 642
17-17 農林統計に用いる地域区分 644
17-18 統計の二次的利用 646
17-19 リンケージデータによる地域分析 648
17-20 POSデータの活用 650
付 録
法律の正式名称一覧 654
略称の原語表記一覧 657
外国人名表記一覧 661
引用・参考文献… 663
事項索引 731
人名索引 774」(目次より)